夏光さす弓道場の君はまだオープンキャンパスに来し二年生/高橋良
二〇〇八(平成二十)年の夏のオープンキャンパス。特に弓道部として何か高校生向けのブースを設けていたわけではない。個人練習で道場に部員が何人かいたのだったか。私は大学一年で、高校での経験者ではあったが、基礎からもう一度叩き直したいとの思いで、練習に励んでいた。そこに隣県の高校から部活見学に来た女子が二人。高校二年でオープンキャンパスに来ていたわけだ。私は二年生の男子の先輩、三年生と四年生の女子の先輩と一緒にその高校生の応対をした。
そのうちの一人は、二〇一〇(平成二十二)年、見事この大学に合格し、あの日見に来た弓道部に入部してきた。見学に来たときは、先輩のわれわれとしてもまさか本当に入部してくるとは思ってもいなかった。しかし、それを実現させてきた。意志の強さを感じた。
それが後に私の彼女となり、妻となった人である。初めての出会いはオープンキャンパス。そのときは何を思うでもなく、ただ応対しただけだった。しかし、入学してきて話すうちに、食事などに行くうちに「この人と結婚したい」とまで思うようになった。
振り返れば、あのオープンキャンパスの夏の光が今の私たちの始まりを祝福していたのである。
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