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うたの日の短歌

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うたの日で注目した短歌について書いた評を載せていきます。(※ 歌の作者の許可を頂いています。)
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2022年6月の記事一覧

クセのある字の書き込みのある本を旅先のブックオフで買う君/鴨野ユーリー

2022年6月16日(木)のうたの日13時部屋の題「ぶっ」の短歌。 旅先では、その土地ならではの…

好き嫌い云々よりも今だけは一緒にいたいそれだけなんだ/水底 沈

2022年6月11日(土)のうたの日7時部屋の題「云々」の短歌。 作中主体は、相手に特別な感情を…

レールなどないのに同じ道ばかり走る市バスに救われている/姿煮

2022年6月14日(火)のうたの日15時部屋の題「バス」の短歌。 「レールなどないのに同じ道ば…

巡礼路コンポステーラめいている老ダックスのゆく遊歩道/美好ゆか

※ 「巡礼路」のふりがなとして「サンティアゴ・デ・」とある。 2022年6月13日(月)のうたの…

約束も用事も恋もない日々を電波時計はただしく動く/安原健一郎

2022年6月12日(日)のうたの日7時部屋の題「時」の短歌。 電波時計は、時間の狂いがほぼない…

梅雨を待つ紫陽花 いつも快活な新入社員が空をながめる/遙禽すみ

2022年6月10日(金)のうたの日15時部屋の「自由詠」の短歌。 紫陽花は、ピンク、白、青紫と…

シベリヤをひとつ購う 祖父たちを獄へ運んだ夜更けの列車/西鎮

2022年6月8日(水)のうたの日15時部屋の題「獄」の短歌。 「シベリヤ」は、シベリアや羊羹カステラとも呼ばれる菓子パン。あんこや羊羹をカステラで挟んだサンドイッチのような菓子である。「シベリヤ」という名前の由来は、諸説あるが、「雪原を走るシベリア鉄道のように見えるから」という説がある。カステラを雪原に、羊羹をシベリア鉄道に見立てているわけである。 菓子から見えてくるシベリアの光景が思い起こさせるのは、シベリア抑留という出来事である。第二次世界大戦後、シベリアをはじめと

さきばしる風船もありあんなにもみんなで歌えた六甲おろし/西鎮

2022年6月6日(月)のうたの日7時部屋の題「六」の短歌。 「六甲おろし」は、正式には「阪神…

自販機のジュースにばかり群がって都会の虫は樹液を探す/蒲生友人

2022年6月4日(土)のうたの日15時部屋の題「虫」の短歌。 夜、蛍光灯の光に集まって来る昆虫…

夏服の子らアナベルの群生のやうに屯す梅雨晴れの駅/ともえ夕夏

2022年6月3日(金)のうたの日17時部屋の題「屯」でバラを取った短歌。 地域にもよるだろうが…

臥す母に朝餉の匙を運びつつ知らず左の手を重ねをり/ふにふにヤンマー

2022年6月3日(金)のうたの日11時部屋の題「左」でバラを取った短歌。 何らかの理由で臥して…

話せないことがだんだん多くなる父と無言でいられる映画/toron*

2022年6月1日(水)のうたの日17時部屋の題「多」で次席になった短歌。 青年期の子と壮年期の…