ブルーベリー狩り

髙橋りん様

最近急激に暑くなってきたけどどうすごしてますか?
前回の座談会でわくわくってなんだろう、と話したのが気になり、ここ最近わくわくすることを探していた。

もう少ししたら、たくさんの雨を浴びて植物がぐっと伸びて、暑い夏を迎える。
夏が来たらブルーベリー狩りに行きたい。

私はブルーベリーが好きだ。品のある甘酸っぱさとあの深い色でコロリとした形を想うとかわいくて胸がぎゅっとする。
そして現在、運良くブルーベリー園の近くに住んでいるのでそれはもう行かずにはいられなくて、ここ2年連続でブルーベリー狩りに行っている。

暑い夏に弾けんばかりにぷりぷりと育ったブルーベリーは、もぎ取るというよりも触れるだけで収穫でき、ぽろぽろと籠に転がる音がまず良い。木によって甘さと酸味のバランスが異なるので味を吟味して、果実についてる白っぽい粉(ブルーム)がブルーベリーの完熟の状態を示しているので、目を凝らして集中してまわる。

ぽろぽろと簡単に採れるから、はじめは気楽に喋りながら採るけれど、次第に我を忘れて黙々と周りの人たちが退散して静かになる頃まで狩りを続けている。
そして日が暮れて、少し涼しくなった頃に、いっぱい採った〜と、汗だくになって大量のベリーを抱えて静かに退散する。
帰りにコンビニでバニラアイスを買ってアイスの上にベリーを乗せて食べることで終わりを迎えるのがここ2年のブルーベリー狩りの流れとなっている。

家に帰ったら、去年も一昨年も私は誰かにお裾分けすることなく、まとめて調理することもしないで、大量のブルーベリーを独り占めしてひとつぶひとつぶひとりで食べた。目の前に好きなもので溢れた時、己の食い意地が張って、夏の間冷蔵庫の前に座ってずっと食べていた。

調理することがもったいないような気がしてそのまま頂くブルーベリーはもちろん美味しくて、みずみずしい。凍らしてお手軽にアイス感覚で食べるのもまた美味しくて、たくさんあったブルーベリーはひとつぶひとつぶまたたくまに、ひとりの腹の中へと消えていった。

この自粛期間中、一人でずっと引きこもっていたのでバイト先の人が心配して手紙を送ってくれた。
その人はブルーベリーじゃないけど、ぶどうが好きで、手紙は一枚一枚柄の違う便箋で、その中の一枚がぶどう柄の便箋だった。
その人のぶどう好きが高じて、印刷されたぶどうの上に文字が書けなかったみたいで、ぶどうを避けて文字が散り散りとなっていたその手紙は愛おしさそのものであり、とてもうれしかった。

食い意地が張って1人でひとつぶひとつぶ全部食べきった去年の夏の私と、その散り散りとした文字とは全く違うんだけど、今年も行けたらいいなあ、ブルーベリー狩り。
今年のブルーベリー狩りことで最近ワクワクしてる。

稲垣