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モノの価値とは
先日、実家が44年ぶりの引越しを行い、
その膨大な荷物の大移動は
ご近所さんに多大なるご協力をいただく大騒動となりました。
無事荷物を積み終えるところまで見届けたものの、
引越し先の栃木には、手伝いを頼めるような間柄のご近所さんはいません。
大丈夫かな…
と気になりながらも、「知らせがないのは良い知らせ」と都合よく解釈し、しばらく音信不通でいました。
2か月ほど経ち、用があって実家に電話すると…
「なんとか必要最低限の荷物だけ開いたけど、
客間にはまだ段ボールが積みあがった状態で…
神奈川からご近所さんが来てくれたんだけど、
家に泊めてあげることもできなかった…」
と、受話器の向こうからは弱々しい母の声が。
これはまずい!と、その週末に栃木に飛んでいきました。
どんな段ボール屋敷になっているかとドキドキしましたが、到着すると、想像よりは片付いていたのでホッと一息。(^^)
私の姉も栃木に住んでいるので、週に2回ほど来て、いろいろ捨ててくれているとのこと。やっぱり、身内が近くにいるというのは頼もしい。
何気なく食器棚を眺めていると、私のお気に入りが見当たらない。
「あれ?ハードロックカフェの大きなグラスは??」
母「あぁ、あれ、お姉ちゃんが捨てちゃった…
『こんな大きなグラスでビール飲んだらアル中になるよ!』
って言って…」
私「なんですと!!☆%◎△??」
そのグラスは、私が学生時代にシアトルへ行った時に、
お土産で買ってきたものだった。
無くなってしまったものは仕方ない。。(T-T)
当時の思い出にしばし浸ることが、
グラスへの、せめてもの供養かしら…
隣の食器棚には、ヨットの記念グラスが残っていた。
「良かった!このグラスは絶対に捨てないでね!」
このグラスにも、思い出がぎっしり詰まっている。
そんな話をしているところに、ピンポーンと大工さんが来た。
新築からリフォームまで、お世話になっている大工さん。
「TV台、持ってきたよー」
母が食堂でもTVを見たいと言ったら、なんと大工さんがTV台を作ってくれるという話になったらしい。
それは良かったねーなんて言っていたら…見てビックリ!
「うわー…、、素晴らしい!!!」
祖父が何枚かコレクションしていたブビンガの大きな一枚板を、大工さんがTV台に加工して下さったのでした。
ブビンガの木目の美しさや、一枚板を活かしたデザインはもちろん、どこを触ってもすべすべの手触り、どこからも釘の見えない美しい納まり、仕上げは亜麻仁油と蜜蝋を加熱しブレンドした油でオイルフィニッシュ。
細部までこだわり抜いた職人技もさることながら、我々が持て余していた祖父の形見に命を吹き込んでくれた大工さんの愛に、心が震えました。
「孫子の代まで、大切に使わせていただきます!」
我が家に家宝ができた瞬間でした。
・・・
自分が感じる価値というのは、自分にしかわかりません。
ハードロックカフェのグラスも、ヨットの記念グラスも、TV台も、家も。
それらの背景に縁のない人から見たら、物質以上の価値はないでしょう。
以前担当させていただいたリフォームの物件で、建て替えに匹敵するほどの予算になったことがあったのですが、お客様が
「建て替えと同じ金額なら、リフォームの方がいい。
思い出がいっぱい詰まったこの家を、大事にしたいから。」
とおっしゃったお言葉に、深く考えさせられました。
モノの価値は自分が決める。
それは市場価値に比例する必要なんてない。
高価だろうが、安価だろうが。
新しかろうが、古かろうが。
デザインが良かろうが、悪かろうが。
自分にとって、世の中にたった一つ、これが大切なのだ
と価値を見出したものに囲まれる暮らしは、
なんて幸せで豊かでしょう。
そんな、自分が見出した価値を大切に、
また、相手が大切にする価値も尊重しながら、
生きていきたいと思います。
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![高橋みちる|リフォームコンサルタント](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/33958914/profile_a44dafafd63c4849e944557a1a4602de.jpg?width=600&crop=1:1,smart)