「顧客による大選別時代」が始まる中、生き残りを分けるキーワードとは
2020/7/29の日経新聞記事で、”転機の病院経営(上)患者減少「元には戻らない」”という記事が出ていました。医療機関の経営にとっても、コロナの影響は大きく及んでいるとのことです。
今回は、世の中全般でいま起こっている「顧客による大選別時代」について書きたいと思います。特に、経営者やマーケティング、営業の方にとってご参考になれば幸いです。
①「お客様から選ばれるかどうか」のハードルが上がる
ちなみに、上記記事の中で私が目を留めたのは、「なぜ患者数が減っているのか」に関する記述でした。
もともと過剰だった診療がコロナでふるいにかけられた面がある。
高齢者の中には、待合室で友人と話すために医療機関に頻繁に通っていた人もいる。
「年配の患者さんと話すために病院に通っていた」という患者さんもいらっしゃるということなんですね。確かに、銀行や携帯ショップなどでは、「カウンターでおしゃべりしたい高齢者のお客様が多い」という話はよく聞きます。今後、そういったお客様はどんどん減少していくことが予想されます。
コロナ禍による緊急事態宣言や自粛の要請の中で、「不要不急」という言葉が飛び交いました。これから不要不急の行動が減ってくれば、それに応じて色々なサービス事業者も顧客数の減少を覚悟しないといけないということになるかと思います。「お客様から選ばれるかどうか」が大きく問われてきます。
②「営業の提案活動」と「お客様の購買活動」は異なる変化が起きていた
2020年3月〜7月において、「営業側の提案活動」と「お客様側の購買活動」それぞれどのような具体的な変化があったのか、ネットリサーチでそれぞれ聞いてみました。
●活動→「商談件数」「メールのやり取り」「電話のやり取り」が増えたか/減ったか
●売上高の要素分解→「提案件数」「案件単価」「受注(発注)件数」が増えたか/減ったか
上記は営業側の調査結果です。営業にとって売上を要素分解したものは「見積提示件数」「平均単価」「既存受注」「新規受注」いずれも減少しています。特に、新規のお客様からの受注件数が大きく減っています。活動については、対面商談件数が減る一方で、オンライン商談件数やメール・電話のやり取りが大きく増えています。
このあたりは、感覚値としても「まあそれはそうだよね」と思われるかもしれません。では、お客様側についてはどうなのでしょうか。
お客様側にとって売上を要素分解したものは、「取引実績のない会社へ新規に発注する件数」は減っているものの、「取引実績のある会社へ継続発注する件数」「営業担当から見積もりをもらう件数」「発注の際の平均単価」が上がっています。営業と同じ傾向ではありません。
ここから推察できる仮説は、お客様側は、信頼できる会社に寄せているのではということです。「実績のある会社へ継続発注」しつつ、「発注単価」も上がっているのですから。
今後、景気が悪化していくと、この動きはさらに進んでいくと思われます。特に、取引実績がない新規のお客様に対する活動はかなり厳しくなりそうです。営業する側が生き残っていくためには何が必要なのでしょうか?
③お客様に選ばれるのは「わかってくれる営業」
こちらは、拙書『無敗営業』でもご紹介しているグラフですが、「新規の取引先を検討するならば、営業担当者に何を求めるか」を集計したものです。
縦軸の項目を眺めて頂くと、「人柄への信頼や好感」「付加価値のある提案」「熱意」「丁寧なフォロー」など、営業として大事な項目が並んでいますが、それらの項目を上回って1位・2位を占めているのは、「お客様を理解し、一方的な押しつけでなく寄り添った提案ができること」です。
お客様からすると、「わかってくれる営業」が求められています。これから、なんとなく買ってくれるお客様が減っていく「大選別時代」において、売上を維持・拡大していくためには、お客様に対する理解度を上げていくことが欠かせません。
特にオンラインによる営業活動は、これからさらに広がっていきます。画面の上でのマナーや、プレゼン力を磨くということも大事に思えるかもしれませんが、「お客様への理解」を会社一丸となって上げていき、選ばれる会社・営業を目指していきましょう。
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