親守詩の提唱と全国への広がり
平成18年に、教育基本法は改正されました。
第10条は、「家庭教育」という項目で、以下のような条文です(太字は筆者註)。
教育基本法の第10条は、第1項に、教育の第一義的責任は保護者にあると明記したうえで、第2項に「国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない」と記されています。
平成24年、このことを具体化するために結成されたのが、親学推進議員連盟です。
「保護者に対する学習の機会及び情報の提供」には、誰もが納得する客観性のある科学的知見や情報が大事ですから、親学ではその点を重視しています。
併せて、親学の一環として提唱し、全国的に取り組んだのが「親守詩」です。
「親守詩」を提唱したのは、定型詩や連歌、エッセイなど多様な表現形式によって親子の情を深めたいと思ったからです。
今回はそのことについて述べていきます。
●”親守詩”誕生のきっかけ
字の如く、親守詩とは”子守唄”の逆です。生まれてきた子に慈しみを込めて子守唄を詠うように、親に報恩感謝の気持ちを込めてつくるのが”親守詩”です。
「親守詩」には、
①子が詠んだ上の句に親が下の句を詠んで和する和歌形式
②俳句形式
③エッセイ
などが含まれています。
親守詩を歌おうと思ったきっかけは二つあります。
一つは私自身の体験です。
私は幼い頃、母がいつも口ずさんでいた子守唄を聴きながら育ちました。その母が年老いて病み生死の淵を彷徨う臨終の場面に立ち会いました。
我が子の存在を認知できなくなった母に何を語りかければよいのか。
ただ一言、「産んでくれて有難う。育ててくれて有難う」の感謝の言葉しかありませんでした。
この思いから「親守詩」は生まれました。
もう一つは、松山青年会議所(JC)のメンバーと親が区について話していた時のことです。
「大人になった親を再び教育するのは難しい。けれど、子供が変われば親も変わる」というメンバーの一言にハッとしました。
なるほど、親学は「親が変われば子供が変わる」がコンセプトでしたが、その逆も真なりという発見でした。
そこから、子供が親を思って歌う親守詩が着想されました。
●親守詩の作品
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