親になるための学び ―「感謝」と「褒める」で共に育つ
●カリスマギャルママ・映画監督との出会い
令和2年、不思議な縁で元カリスマギャルママモデルの日菜あこさん、および若手の映画監督の豪田トモさんと10月10日に「パパ&ママ応援! 子育てトークショー」を開催することになった。
主催は埼玉中央青年会議所で、私が会長をしている一般財団法人親学推進協会に1,000人規模の親学講演会の開催依頼があったことが発端であった。
企画会議を何度も行い、お二人とのトークショーを提案した。
この2人を推薦したのには訳があった。虐待死が相次ぐ中で子育ての困難さに真正面から向き合い挌闘している姿に感銘したからである。
日本青年会議所埼玉ブロック主催で「ギャルママ協会」の日菜さんほか2人と親学パネルディスカッションを開催した際、じっくり「ギャルママ」たち(全国組織のギャルママ協会はピーク時約4万人の組織であった)の本音を聴いて、親支援の在り方の根本的見直しを迫られた。
この組織に属する多くのギャルママが離婚と「虐待の連鎖」を経験する中で、「狐立」した子育ての困難さに直面している現実を赤裸々に涙ながらに語る姿に触れ、親を責めてはいけないことに気付かされた。
子供の成長、発達には母性と父性の優しさと厳しさの関わりが必要だと説いても、自分自身が親から虐待され、「愛着」を受けたことがないので、子供がかわいいと思えず、気付いたら子供を虐待している現実をどうしたらよいかわからない、と泣き崩れるのであった。
その痛々しい姿を見て、「育児」の前に、自らが背負った精神的トラウマにしっかりと向き合い、まず自らの心のコップを上に向ける「育自」(自らを育てること)が大切であることに気付かされた。
以来、「虐待の連鎖」から如何に脱却するかについて考えてきたが、「育自」に基づく「育児」への転換、「虐待の連鎖」から「感謝と褒め育ての連鎖」への転換、「狐育て」から「共育」への転換が必要という結論に辿り着いた。
豪田トモ監督との出会いは、10年前に全国で上映され、90万人を動員したドキュメンタリー映画『うまれる』(監督:豪田トモ、ナレーション:つるの剛士)と現在、オンライン上映中のドキュメンタリー映画『ママをやめてもいいですか!?』(監督:豪田トモ、ナレーション:大泉洋)並びに池川明氏との共著『えらんでうまれてきたよ――胎内記憶が教えてくれること』を読んだことにあった。
同書は映画『うまれる』の製作過程で集まった親子の絆と命の神秘に満ちた、母親のお腹の中にいた時の「胎内記憶」の証言集である。一方のオンライン上映中の映画では、10年後の今、インターネットで母親400人にアンケートし、「ママをやめてもいいですか!?」と思ったことがあると答えた人が77%に及んでいるという。
母子の絆と命の神秘への感動的な内容から、子育ての困難さをクローズアップする内容へと、10年間で大きく変化した背景には、一体何があったのか? 母子関係の光と影の相反する両局面を浮き彫りにした豪田監督の胸に去来するものは何かを知りたいと思った。
●「胎内記憶」33%、「誕生記憶」21%―諏訪市17保育園1,620人調査
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