ビートルズ "I Am The Walrus"、私が感じ取った曲の印象
ビートルズの楽曲ひとつひとつについて、私が感じたことをベースに、8項目の音楽的視点からポイント評価したコンテンツを公開しています。最後のアルバム LET IT BE から順に過去へさかのぼって、1曲づつ投稿しています。
第 71回目、今日の楽曲は...
アルバム MAGICAL MYSTERY TOUR A面 6曲目 "I Am The Walrus"
サウンド:★★★★☆
メロディ:★★★★
リズム :★★☆
アレンジ:★★★★☆
第一印象:★★
スルメ度:★★★★★
独創性 :★★★★☆
演奏性 :★★☆
<★ ... 1点 ☆ ... 0.5点、5点満点、各項目の解説は最後にあり>
個人的に大好きな曲。一見、不可解な音楽に聞こえるが、聴きこむと非常に手の込んだ曲であることがわかる。個性的であり、前衛的であり、完成度が高い曲であり、正直言ってコメントするのが恐れ多い。特筆すべきは、バイオリンとチェロとホルンの、絶妙なアレンジだろう。それらがこの曲のアレンジのキモであると言っても過言ではないと思う。聴けば聴くほど、ビートルズ中期におけるジョンの最高傑作だと思えてくる。したがって、スルメ度に関しては満点の 5点としている。
ジョンのボーカルにはファズがかかっていて、異様な雰囲気をかもし出している。それと、いたるところに入るコーラスらしくないコーラスも、この曲を特徴づけている。例えば "I am the eggman..."の後に入るピッチダウンするコーラス、曲の後半の"Ho-ho-ho, Hee-hee-hee, Ha-ha-ha"とか、その後の"goo goo g'joob"から入るスイープするようなコーラス、そしてエンディングの合唱団風の意味のないコーラスなど、とても普通では考えもつかないフレーズをちりばめている。
基本のサウンドは、エレピのコードワークがメインであり、ベースも 8分音符で淡々と弾いている。ドラムもシンプルな 8ビートを基本としていて、ときおり入るフィルも簡素なものである。それに比べて、弦楽器や管楽器、コーラスのアレンジもさることながら、いろいろなサウンド・エフェクト音が入っているのも、特徴的である。聴いているだけでは、何の音だかわかないが、文献によると実に奇想天外なところから、引っ張り出してきているようである。
曲の中盤でサビのフレーズが終わった途端、突然人のしゃべり声が聞こえるが、これらはラジオドラマ音声とのこと。しかも、ラジオのチューニングをする音まで入っている。なんとも突拍子もないことをしでかすものだと思う。そして、このあとから始まるフレーズ "Sitting in an English garden..." から、ジョンのボーカルの雰囲気がガラっと変わる。これは、ミックス違いのもの(もともとモノ・ミックスとして作成されたものを疑似ステレオ化したもの)を、継ぎ足したとのことで、こんなもん、文献を読まない限り何が起きているのかサッパリわからない。
コード進行は、歌いだし "I am he as you are he as you are me..." から A→A/G→D→C→D→A→A/G→C→D ときて、"I'm crying" で A に戻る。キーは Aメジャーなので、C のコードが印象的な響きを放っている。あと、細かいところでリズムにも特徴がある。16分音符がシャッフルしているのである。これは、8分音符ではわからないが、16分音符で歌うボーカルのリズムを聴くと、跳ねているのがわかると思う。コピーバンドで歌うときは要注意。
とまぁ、この曲に関してはキリがないので、この程度にとどめておきます。
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