ビートルズ "The Fool On The Hill"、私が感じ取った曲の印象
ビートルズの楽曲ひとつひとつについて、私が感じたことをベースに、8項目の音楽的視点からポイント評価したコンテンツを公開しています。最後のアルバム LET IT BE から順に過去へさかのぼって、1曲づつ投稿しています。
第 67回目、今日の楽曲は...
アルバム MAGICAL MYSTERY TOUR A面 2曲目 "The Fool On The Hill"
サウンド:★★★
メロディ:★★★☆
リズム :★★
アレンジ:★★★★
第一印象:★★★
スルメ度:★★★☆
独創性 :★★★★
演奏性 :★★★☆
<★ ... 1点 ☆ ... 0.5点、5点満点、各項目の解説は最後にあり>
フルート、リコーダー、ハーモニカの素朴な音色が印象的である。伴奏の骨組みはピアノであるが、フルート、リコーダー、ハーモニカによるサウンドが、ピアノ伴奏の肉付けをしており、かなり凝ったアレンジになっている。前曲の Magical Mystery Tour もそうだが、このような管楽器系満載の曲は、コピーバンドにとっては非常にやりにくい曲である。ライブでは、シンセ担当が大忙しのナンバーとなるだろう。
この曲のキーは Dメジャーであり、Aメロ " Day after day..." のボーカル・メロディも明るい雰囲気で始まる。ここのコード進行は、D6→Em7/D→D6→ Em7/D... と、かなりあいまいな感じのコードを使用している。そして、サビ "But the fool on the..." に入ると同主調の Dマイナーになり、歌詞の内容に合わせるかのように雰囲気が変わる。この部分のコード進行は、Dm→BbM7/D→C7→Dm→Dm7 に行って、"Spinning round" の終わりでメジャコードの D6 となる。2コーラス以降もこのように同主音でメジャーとマイナーを行き来しており、その対比が美しい曲である。
ポールのボーカルは淡々としており、抑揚はあまり感じられない。歌詞の内容からしても、ちょっとしんみりとした曲調である。ベースは、弾いているのかどうかわからないくらい目立たないが、文献によるとジョージが弾いているらしい。ドラムも極めて控えめで、マラカスとかタンバリン等のパーカッションの音のほうが目立って聞こえる。ときおり聞こえる低い音のハーモニカは、ジョンとジョージによるバス・ハーモニカとのことで、地味に曲の味付けをしている。
ソロパートのリコーダーはポールによるもの。ベースはもちろん、ピアノ、ギター、ドラムまでこなすマルチ・プレーヤーのポールではあるが、リコーダーでソロをとるとは恐れ入る。コピーバンドでこの曲を演奏する際は、間違ってもシンセ等でこのリコーダー・ソロを奏でてはならない。そう、小学校の音楽の授業で使ったリコーダーを持ち出して、マイクに向かって吹くのである。これでお客さんの拍手喝采、間違いなしである。