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ビートルズ "Baby You're Rich Man"、私が感じ取った曲の印象

ビートルズの楽曲ひとつひとつについて、私が感じたことをベースに、8項目の音楽的視点からポイント評価したコンテンツを公開しています。最後のアルバム LET IT BE から順に過去へさかのぼって、1曲づつ投稿しています。

第 75回目、今日の楽曲は...

アルバム MAGICAL MYSTERY TOUR B面 4曲目 "Baby You're Rich Man"

サウンド:★★
メロディ:★☆
リズム :★☆
アレンジ:★★
第一印象:★★
スルメ度:★☆
独創性 :★★
演奏性 :★★★★☆

<★ ... 1点 ☆ ... 0.5点、5点満点、各項目の解説は最後にあり>

なんとも異様な雰囲気のイントロで始まる。ベースの空ピックのような音が、グルーブ感たっぷりでよい感じ。このソリッドなベースは、歌いだしの Aメロからは、8分音符で分散和音的なフレーズを淡々と弾いている。これもまたなかなか心地よい。あと、伴奏のサウンドとしては、ピアノやギターも入っているようだが、これらはあまり目立っていない。

それよりむしろ気になるのは、始終聞こえているオーボエのような音である。なんか、フレーズになっているような、なっていないような中途半端なオブリガードを入れているのが、気になってしょうがない。この音は、ジョンがクラヴィオライン(かなり初期のシンセサイザー)で弾いているようだ。このサイケっぽい感じはジョージの影響だろうか。

ボーカルのメロディ・ラインが印象的である。Aメロ "How does it feel to be..." では、ジョンが甘い声で歌っているが、サビの "Baby you're a rich man ..." からはポールとジョージがコーラスをつけ、力強い響きとなっている。文献によると、Aメロ部分はジョンが、サビの部分はポールが作り、後で 2曲をつなぎ合わせたらしい。2人の異なる曲をつなぎ合わせて共作とする手法は、他にもいくつか散見されるが、珍しい構成の曲かと思う。

ドラムはシンプルな 8ビートと思いきや、2回目の Aメロではスネアでソロっぽいフレーズを叩いている。そして、2コーラス目の最初あたりは、タムで似たようなことをしていて、地味にメリハリをつけている。リズム的には、ドラムの音よりもマラカスやタンバリンのほうが目立っていて、全体的にちょっとガチャガチャした雰囲気になっている。

キーは Cメジャーだが、Aメロは G7から始まっている。曲中で使っているコードは、C、G7、F くらいで、きわめてシンプルである。あと、Aメロの長さが 11小節と中途半端な長さになっているが、特に違和感は感じられないのが不思議といえば不思議である。

ちなみにこの曲は、テレビ映画 "MAGICAL MYSTERY TOUR" のために作られた曲ではなく、アニメ映画 "YELLOW SUBMARINE" のために作られたものとのこと。しかし、シングル盤 All You Need Is Love の B面に収録されてしまったため、既発表シングル曲はアルバムに収録しないという方針のもと、アルバム YELLOW SUBMARINE には収録されなかった。

なお、次の曲 All You Need Is Love は、第35回 で投稿済なので省略します。(アルバム YELLOW SUBMARINE にも収録されているため)

アルバム MAGICAL MYSTERY TOUR はこれで終わり。総括すると、曲の傾向としては前作のアルバム SGT. PEPPER'S の延長上にあるように思える。実際、アルバム SGT. PEPPER'S で最後に録音された曲は Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band (Reprise)で、1967年の4月1日に録音されている。それに対して、たとえば Strawberry Fields Forever は、1966年11月24日に録音開始されている。つまり、SGT. PEPPER'S と MAGICAL MYSTERY TOUR のアルバム制作期間は、そこそこ重なっている。SGT. PEPPER'S に入らなかった隠れた名曲が、このアルバムで聴くことができるのである。

次回からは、アルバム SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND です。

あくまで曲の印象を具体的に表現するための手段です。曲をランク付けする意図はありません。


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