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ビートルズ "I'll Follow The Sun"、私が感じ取った曲の印象

ビートルズの楽曲ひとつひとつについて、私が感じたことをベースに、8項目の音楽的視点からポイント評価したコンテンツを公開しています。最後のアルバム LET IT BE から順に過去へさかのぼって、1曲づつ投稿しています。

第 134回目、今日の楽曲は...

アルバム BEATLES FOR SALE A面 5曲目 "I'll Follow The Sun"

サウンド:★★
メロディ:★★★
リズム :★☆
アレンジ:★★★☆
第一印象:★★★
スルメ度:★★☆
独創性 :★★★
演奏性 :★★★★

<★ ... 1点 ☆ ... 0.5点、5点満点、各項目の解説は最後にあり>

メロウな音のエレクトリック・ギターと、それとは対照的なクッキリとしたアコースティック・ギターのアルペジオで始まる。この 2小節のイントロのあと、ポールとジョンのユニゾンによるボーカルが入る。そして一旦ポールのソロ・ボーカルになり、そのあと再度ユニゾン・ボーカルとなる。メロディ・ラインによって歌い分けがされていて、このあたりビートルズらしさを感じる部分でもある。

さて、この曲のすごいところは、コード進行である。まず、歌いだしのコード進行で度胆を抜かれる。G7→F7→C...という進行は、この曲のキーが Cメジャーであることを考えると、ドミナント→サブドミナント→トニックという、通常の逆のパターンを行く。しかも、Aメロの途中 "you'll look..." の "you'll" では F7 の 7thである Eb音が使われ、"One day..."の"One"の D音から半音あがる形となり、極めて独特なメロディを形成している。

さらにサビ "And now the time has gone" ではサブドミナント・マイナー・コードの Fm6 が現れ、歌詞が表現する郷愁感を、見事にコードの響きでもフォローしている。この部分、ジョンの半音降下クリシェ・コーラスと相まって、なかなかグッとくる音の使い方かと思う。

演奏面では、エレピ、アコギ、ベースに加えて、リズムが何やらよくわかない音で奏でられている。明らかにドラム・セットではないし、パーカッションでもない。文献によると、これはリンゴが手で自分の膝を叩いている音とのこと。なんともはや、すごい発想。あと、オマケ程度にギター・ソロがはいっているが、これははちと手抜きではないかと思うが、この曲のイメージからしてこの程度で妥当であろう。

キーは Cメジャー。Aメロ "One day you'll look..." は、G7→F7→C→D→C→ConB→D→G→C とむちゃくちゃ独創的。サビからは、Dm→Fm6→C→C7 と言った感じで、ガラッと雰囲気が変わる。この曲は、2分にも満たない小曲ではあるが、この時代としてはかなり最先端のコード・アレンジかと思う。実にポールらしい、いい意味で聴き手を裏切る名曲だと思う。

あくまで曲の印象を具体的に表現するための手段です。曲をランク付けする意図はありません。


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