ビートルズ "Dizzy Miss Lizzy"、私が感じ取った曲の印象
ビートルズの楽曲ひとつひとつについて、私が感じたことをベースに、8項目の音楽的視点からポイント評価したコンテンツを公開しています。最後のアルバム LET IT BE から順に過去へさかのぼって、1曲づつ投稿しています。
第 129回目、今日の楽曲は...
アルバム HELP! B面 7曲目 "Dizzy Miss Lizzy"
サウンド:★
メロディ:★☆
リズム :★
アレンジ:★★
第一印象:★☆
スルメ度:★
独創性 :★
演奏性 :★★★★★
<★ ... 1点 ☆ ... 0.5点、5点満点、各項目の解説は最後にあり>
ラリー・ウイリアムズの曲で、カバーとしてはビートルズのアルバムの中では最後の曲となる。ジョンのシャウトぎみのボーカルがカッコいい。そしてひときわ目立つのが、曲を通して入っているジョージによるギター・リフ。カバー曲ではあるが、ビートルズのオリジナルといってもよいくらい、自分たちのサウンドに仕上げている。
イントロはいきなりギターのリフから入り、オルガンのグリッサンドのあとドラムとベースが入る。なかなかインパクトのある歌いだしかと思う。演奏面ではひたすら 8ビートのロックン・ロール・スタイルで、特に難しいことはしていない。リンゴの叩くトップ・シンバルと、ときおり入るフィルインが、この曲のスピード感を強調しているかのようである。
ところでジョージのギターリフは、歌のある部分と間奏とでは、入る位置(小節)が異なっている。そのためか、間奏が終わって 2コーラス目に入るところで、ジョージはリフを入れるタイミングを間違えている。レコードを聴いていると、そこの箇所のリフの音が急に小さくなり、しかも 2小節連続してリフが入っているのがわかる。
弾いている本人にとってもややこしくて、どっちに入れるのか一瞬わからなくなってしまい、こんなむちゃくちゃ自信のない演奏になってしまったのだろう。普通は、こんなミスをしたら録音し直しだが、なんとこのテイクを採用してしまうのが、ビートルズの恐ろしいところである。皆様は真似をしないように(笑)。
キーは Aメジャー。コード進行は典型的な 12小節ブルース進行。使用しているコードも、A, D, E7 の 3つのみ。アルバム HELP! の B面は、わりと地味な曲調のナンバーが目立ったが、最後で一発、派手に騒いでやろうみたいなノリが感じられて、「あぁ、やっぱりビートルズはロック・バンドなんだな」という印象を再認識させられる。
◇
これでアルバム HELP! は終わりです。ボブ・ディランに大きく影響された曲が目立ち、今までの路線とは少しづつ方向性を変えてきているようなアルバムかと思う。そしてその延長上に次のアルバム RUBBER SOUL があり、そこでもさらにビートルズの音楽は進歩を続けていく、その過渡期にあたるアルバムだったかと思う。ジョージの曲が初めて 2曲収録されたということもあり、各メンバーの個性が出てきていると同時に、グループとしての一体感もいっそう強固なものになった 1枚である。
次回からは、アルバム BEATLES FOR SALE です。