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ビートルズ "Wait"、私が感じ取った曲の印象
ビートルズの楽曲ひとつひとつについて、私が感じたことをベースに、8項目の音楽的視点からポイント評価したコンテンツを公開しています。最後のアルバム LET IT BE から順に過去へさかのぼって、1曲づつ投稿しています。
第 113回目、今日の楽曲は...
アルバム RUBBER SOUL B面 5曲目 "Wait"
サウンド:★★
メロディ:★☆
リズム :★☆
アレンジ:★★
第一印象:★☆
スルメ度:★☆
独創性 :★★
演奏性 :★★★★★
<★ ... 1点 ☆ ... 0.5点、5点満点、各項目の解説は最後にあり>
地味な曲ではあるが、わりと好印象。日本人好みのメロディ・ラインかと思う。文献によると、もともとは、前作のアルバム HELP! に収録される予定であったが没になってしまっていた。ところが、RUBBRER SOUL でもう 1曲必要になり、録音済みのテープを引っ張り出してオーバーダブし、見事返り咲いたとのこと。もし HELP! に収録されていたら、もう少し簡素な演奏だったかもしれないし、結果的に RUBBER SOUL に収録されてよかったと思う。
イントロは、いきなりジョンのボーカルから始まり、マイナー・コードのギターとベース、やけに元気のよいタンバリンが入る。そのあとに続く Aメロ "Wait till I come back..." からは、メジャー・コード(A) になり雰囲気が一転。陽気なボーカルと軽快なドラムが、曲をグイグイと引っ張っていく。しかし、それは長くは続かず再びイントロの物憂げなメロディに戻る。なんともドラマチック。
2コーラス目のあとのサビ "I feel as though..." からのメロディ・ラインが、なかなか渋くてカッコいい。これまでは、ジョンのメイン・ボーカルにポールがハーモニーをいれるボーカル・ラインであったが、サビではポールの独り舞台となっている。この部分だけポールが作ったのかもしれない。
この曲の聴きどころは、ジョージのボリューム・ペダルを駆使した奏法であろう。サビの最後で、イントロのメロディに移るとき、ギターの音をフワッとのせ、これがなかなかの絶品サウンド。いわゆるバイオリン奏法とも言われているこのサウンドを聞けるのは、この曲と、アルバム HELP! に収録されている I Need You、UKオリジナル・アルバムには収録されていないが、Yes, It Is ぐらいか。
キーは Aメジャー。イントロ "It's been a long time..." からのコードは、 F#m→F#m6→Bm→F#m→C#7... 、Aメロからは、A6→C#7→F#m と、比較的オーソドックス。サビからは、B→E→A→F#m となっており、最初のコード B が新鮮な響きである。
それにしても、エンディングでの終わり方がいささか「ダサい」。リタルダンドしていくのはよいが、最後のボーカル "I've been alone" のあと、取ってつけたようなベースと、低い弦で次第に下がる単音ギター、極めつけはタンバリンのジャラジャラジャラ...。まぁ、日本人好みといえば日本人好みなんですけどね。
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