見出し画像

ビートルズ "Can't Buy Me Love"、私が感じ取った曲の印象

ビートルズの楽曲ひとつひとつについて、私が感じたことをベースに、8項目の音楽的視点からポイント評価したコンテンツを公開しています。最後のアルバム LET IT BE から順に過去へさかのぼって、1曲づつ投稿しています。

第 150回目、今日の楽曲は...

アルバム A HARD DAY'S NIGHT A面 7曲目 "Can't Buy Me Love"

サウンド:★★☆
メロディ:★★☆
リズム :★★
アレンジ:★★☆
第一印象:★★★
スルメ度:★★
独創性 :★★★
演奏性 :★★★★★

<★ ... 1点 ☆ ... 0.5点、5点満点、各項目の解説は最後にあり>

いきなりサビのボーカルから入るという、「掴みはバッチリ」スタイルの代表曲。もう、初っ端からノリノリである。バックで鳴っている 2本のギターは、ジョンが弾く J-160E と、ジョージが弾くリッケンの12エレキである。文献によると、この曲が 12弦ギターを始めてレコーディングに使用した曲とのことである。ただ、12弦の特徴がまだうまく引き出されておらず、全体的に埋もれた感じになってしまっているのがちと残念か。

リード・ボーカルはポール。ジョンやジョージのコーラスはなく、始終ポールのダブル・トラックによるソロとなっている。ベースはシンプルな 4ビートを基本に、ほぼルートと 5度を行き来している。ドラムはシャッフル・ビートで、ハーフ・オープンのハイハットがスピード感をかもし出している。ただ、イントロとエンディングだけはハイハットの代わりにフロアタムでビートを刻んでいて、サウンドにメリハリをつけている。

間奏はジョージによるギターソロで、ダブリングされているため若干音に厚みが出ている。よく聴くと、小さくもう 1本ソロらしきフレーズが聞こえるが、ボーカル・トラック録りのときに回り込んで録音されたものの名残りか。4トラック・レコーダーだと、トラック割りにかなりの制約があるので、消したくても消せない音が残ってしまったのかもしれない。それにしても、このソロに入る直前のシャウト「ア゛ーーー」が、むちゃくちゃ気張っていておもしろい。リラックスしたレコーディング風景が目に浮かぶようだ。

キーは Cメジャー。ただ、イントロは Em で入り、その後は Am→Em→Am→Dm7→G6 と続く。ちょっと意表を突いたイントロのコード進行である。Aメロ "I'll buy you a diamond ring.." からは、C7→F7→C7→G7→F7→C7 という、典型的ブルース進行。そして、サビ "Can't buy me love everybody tells me so..." では、Em→Am→F7→C7→Em→Am→Dm7→G6 といった感じで、マイナー・コード群の中に F7 や C7 が割り込む形で、けっこうブルージーっぽい響きが強調されているようだ。

この曲も、G6 等、6thコードがさりげなく使用されている。これがビートルズ・サウンドの「隠し味」なのである。

あくまで曲の印象を具体的に表現するための手段です。曲をランク付けする意図はありません。


いいなと思ったら応援しよう!