ビートルズ "Doctor Robert"、私が感じ取った曲の印象
ビートルズの楽曲ひとつひとつについて、私が感じたことをベースに、8項目の音楽的視点からポイント評価したコンテンツを公開しています。最後のアルバム LET IT BE から順に過去へさかのぼって、1曲づつ投稿しています。
第 98回目、今日の楽曲は...
アルバム REVOLVER B面 4曲目 "Doctor Robert"
サウンド:★★
メロディ:★★☆
リズム :★★
アレンジ:★★★☆
第一印象:★★☆
スルメ度:★★
独創性 :★★★
演奏性 :★★★★☆
<★ ... 1点 ☆ ... 0.5点、5点満点、各項目の解説は最後にあり>
なんとなく、ほのぼのとする曲調である。がしかし、よく聴くとけっこうバンド・サウンドしている曲である。イントロから Aメロ "Ring my friend I said..." にかけて、1小節単位で繰り返し流れているギターのリフが、この曲を特徴づけている。このリフは、ジョンが弾いているエピフォン・カジノで、少し歪ませたような、ビートルズ定番のサウンドである。この音を聴くと、ああ、ビートルズ・サウンドだなぁと思ってしまう。
ギターといえば、ジョージがなんとも面白いフレーズを弾いている。1コーラスが終わったあと、左チャンネルからややトレブリーなギターのオブリガードが聞こえるが、それがジョージによるストラトの音。サビ "Well, well, well you're..." からは、B音の単音を「タ、ターン」というリズムで、繰り返し弾いている。コード弾きではなく、シングル・ノートというのがなんとも面白い。ちなみにコードは B→E となるが、ベースもずっと B音である。
ボーカル・ラインは、Aメロはジョンが、サビはポールが作ったとのことで、数少ない「つなぎ合わせ」スタイルの共作である。そして特筆すべきは、ポールのコーラスである。2回目の Aメロの途中 "He's a man you must be..." の "man" の部分。ここのコードは F#7 なのだが、ジョンのボーカルは 7th の E音、そしてポールがとっているコーラスの音はなんと #9th の A音である。この響きが、独特の緊張感とカッコよさをかもし出している。
この曲のコード進行は、非常によく考えられている。キーは Aメジャーで Aメロも A7で始まるが、Aメロの最後は B7で終わる。そのまま 2回目の Aメロに入る時、B7→A7という長2度下がる形になり、一瞬転調したかと思わせる。そして Aメロからサビに行く時は、サビは Bなのでそのままスムーズに行っているようで、実は一時的に転調している。サビでは B→E→B→E のコード進行であるが、最後のコード Eから Aメロのコード Aに戻るところでは、コード Eがサビのサブドミナントであるのと同時に、Aメロのドミナントでもある。
解説するほうも疲れてしまうほど、地味に凝った曲なのである。
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