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バベル以前
本の虫と呼ばれてまで
身につけてきたことばが
通じなくなってきた
代わりにいたるところで
ピジンが栄え始めている
由々しき事態なのに
不思議と何とも思わない
仮に悔しがったところで
バベル以前に戻るわけでもない
"さざれ石の巌となりて苔のむすまで"
永い時を経て築きあげてきたものが
必要とされなくなってきた
血が交じり、ことばが交じり
クレオールの隆盛が始まっている
由々しき事態などと言っている
お偉いさんに担がれたりはしない
優雅に構えて顛末を見届けるだけ
バベル以前に憧れてるわけでもない
神でもなければ民でもない
バベル以前に戻るわけでもない