井桁絣
水をください冷たい水を
夏の日差しの中で
貴方の声はどこまでも細く
空に消えていった
井桁絣の切れ端を
御守りにしますから
貴方もどうかこの私
忘れないでください
また夏が来れば帰って欲しい
冷たい水を汲んでおきます
天主堂のマリア様が
見守ってくださった
貴方の残した忘れ形見も
明日嫁ぎます
二度と再び憎しみなどは
持ちはしませんこの子の為に
お気に入りの井桁絣
羽織って来てください
山王神社の二の鳥居の
石段で待ちます
私の髪はあまりにも細く
涙に濡れてます
涙に濡れてます
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