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本の紹介📚|眼球堂の殺人 〜The Book〜

奇怪な建物と見取り図、集められた客人、クローズドサークル、不可解な死…
そんな“館もの”ミステリ好きにはたまらない要素が詰まった作品がこの「眼球堂の殺人」から始まる“堂シリーズ”だ。
探偵役となるのは真理を求めて放浪する変わり者の数学者、十和田。そしてシリーズを通して関わる謎多き天才女性数学者、善知鳥。登場人物とその関係性も魅力的だが、何より本シリーズの主役と言えるのが「建物」だ。
ミステリの館にはギミックが付きものだが、たいていは主となる謎を演出する役割に過ぎない。しかしこの「眼球堂」から始まる一連の“堂”には、おおよそ見取り図からは想像もつかない大きな仕掛けが隠されており、それこそが謎そのものとなっている。人のための建物ではなく、不可能としか思えない謎を作り出すためにデザインされたミステリのための巨大な装置が“堂”なのだ。
その仕組みが明かされた時の驚きと快感がたまらない。
本シリーズは主要登場人物を軸に、主役や関係性を変化させながらも一連の“堂”をめぐって事件が展開していく。そして次第に背後に浮かび上がる黒幕の存在…
そんなミステリらしい雰囲気と魅力にどっぷりと浸り、没頭できる作品だ。

眼球堂の殺人 〜The Book〜
周木律|講談社文庫

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