精神的に強くなった現代日本人〜劇団四季ハムレットを観て
精神の近代化
ときは近代化した昭和時代。
福田恆存は物質面の近代化は行われたが精神面の近代化はまだ行われていないと言った。
海外から優良な技術をモンタージュ美人のようにかき集めた日本という国は、それら技術を操る精神が未発達であり、とくに、「場から離れられない」という弱さ(あるいは強情さ)を上手に捨て去り、精神的に強くなるべきだ、と福田は言った。
福田は、そんな日本に対極する例としてアメリカで遭遇した場面を出した。
「女性が母親と思しき女性と駅の改札で抱き合って泣いていた。改札を母親がくぐった途端、くるっと振り向いた顔を見ると、あっけらかんとした顔になっていた。」
これは、場の転換が早い西洋人の特徴を象徴している。
ハムレットを観て
シェイクスピア劇のハムレットは海外では超有名人気作品だが、その人気の秘訣は、ハムレットが近代人であるからだ、と福田は述べる。
近代人とはどのような人物だろうか。
ハムレットほど変わり身の早い人間はいない。相手次第で違う面を見せてくれる。
・誠実なホレイショーと話しているとき
・王様の手先となった旧友と話しているとき
・独白するとき
・狂気のハムレット
・正気のハムレット
・激情にかられるハムレット
・猥談をするハムレット
・慎重なハムレット
・軽率なハムレット
・勇敢なハムレット
…
現代人にとってこれほど魅力あるように見えるのは、多面的な自分を見せて楽しませてくれるからだろう。
切り替えが早い現代日本人
少し前、切り替えが早い私は冷たい人間?という題材で、Twitterでバズった漫画があった。
そのツイートをした彼女は、友達とさよならした後、くるっと振り返って笑顔から無表情に変わるのがとても早い、と自身の冷たさを弄していた。しかしその後も上手く友達付き合いしているのだから、単に冷たいわけではないだろう。
これはつまり、彼女の場面が切り替わったのだ。彼女は、場面の切り替えに即座に対応できたのだ。
このツイートはある程度バズっていたので、共感する日本人が多かったのだろう。
つまり現代日本人は、湿度の高いジメジメベタベタしている日本型人間関係から、立場の切り替えのできる人間関係へと変化しているのではないかと思う。
ライフデザイン
仕事を始めて、すぐに私は、LIFE SHIFTという本に出会い、インディペンデントな生き方に憧れた。
そこでは、パラレルワークや複業・副業などを行い、組織に縛られない人間になる。この人生の生き方は、
国語問題や国際政治、文芸評論、演劇などパラレルに活動をしてきた福田恆存にも通じている。
そんな生き方をするためには、適応障害(適応異常)をなくし、反射神経の良いような精神を育む必要があると思っている。