『次の街へ』
あの日から僕は棒立ちさ
桜のような君に取り憑かれて
僕まで木になってしまいそうだから
嫌で家を飛び出した
排気ガスで滲んだ空
無言で走り抜けてく猫
君の言葉振り払って
隣町まで走ってく
夕日を追い越して丘を越えて
下り電車尻目に走った
僕をからかう白菫色の空
幻覚を見たんだ
君という桜の妖精が
夕日と共に僕を誘うけど
八分咲きの君を待てないから
回送バス追いかけて走る
前を向いたつもりの僕
夕日のような昨日に上手くまかれて
気付いたら橋の上でひとりぼっち
風が僕を突き飛ばす
排気ガスで歪んだ夢
忙しなく横切る烏
君の何かが降りかかった
知らないまま走ってく
半月追い越し坂越えて
下り電車僕と目が合った
僕たちの忘れた茜色の空
現実を見たんだ
君という言葉の妖精が
真夜中の魔法を誘うけど
八分咲きの夜に帰りたいのに
回想バス霞む目的地
忘れた景色の前たどり着いた僕
昨日の景色の後ろで戸惑う夜
酸性雨が降った 体が溶けた
時間を止められないことを知ったよ
新月追い越して丘を越えて
下り電車尻目に走った
僕をからかう白菫色の空
変革を見たんだ
君という自分の妖精が
朝日と共に僕を誘うけど
八分咲きの心が散ってしまうから
回送バス追いかけてなんて何度も