文献まとめ サルコペニアと栄養療法①
こんにちは。先日はサルコペニアの嚥下障害という論文をまとめました。
今回もサルコペニア関連でまとめていきたいと思います。
今回の論文は
『サルコペニアと栄養療法』 西岡心大
CLINICAL REHABILITATION Vol.29 No.12 2020.11 です。
前回と同じジャーナルからです。
長くなりそうなので最近多い、数日に分けて書いていければと思います。
今日はまず、栄養療法の視点で「予防」と「治療」についてです!
それではまとめます。【】部は本文引用です。
サルコペニア予防に有効な栄養療法とは?
【高齢者では味覚・嗅覚の低下、胃底部の順応性低下、コレシストキニン分泌増加により胃排泄遅延などが引き起こされ食欲不振や早期満腹感を生じる。この現象はAnorexia of agingとよばれ、エネルギー・たんぱく質摂取不足を引き起こす】
病院で働いていても、身近な高齢者をみても、高齢者は食事量が若者に比べ減っているのは皆さん何となくわかっていると思います。
ここから分かることは、胃や排泄の状態等についてもセットで考えるということでしょうか。知っていないと別個で考えてしまいそうなので注意が必要ですね。
もちろんその他の疾患の有無についてと、その疾患と食事との結びつきなど、医療従事者はこういった背景について知っておかなければいけませんね。
前にも書きましたが、「高齢者の特性」を常に頭のなかにいれて意識して関わることが大事かと思います。
薬剤過多により害が出ていることをポリファーマシーと呼びますね。そしてよく副作用や認知症の発症、骨折などが挙げられると思いますが、薬剤過多は食欲不振にも影響するのですね。
これは転倒・骨折等に比べ、緊急を要さないことから見落とされがちかもしれません。
やはり多職種で情報を共有し必要なケアとそうでないケアを見直し、全身状態を管理する必要性があると思います。
【地域在住高齢者においてたんぱく質摂取量と骨格筋量の変化との関連を調査した研究によれば、摂取エネルギーに占めるたんぱく質比率が最も少なかった群(平均10.9%)は他の群より調査開始1年後と5年後の骨格筋量減少比率が最も大きく、たんぱく質摂取量は骨格筋量の減少に影響を与える独立した危険因子であった】
これもイメージはその通りだと思いますが、こうしてしっかりデータとしてあるのは栄養管理の重要さを裏付けることとなるのでとても重要な研究だと思います。
こういったデータを自分たちがしっかりと認識していることで正しく当事者に伝えることが出来るようになると思うので、常に最新の研究には触れていたいですね。
自分も自分の病院でのデータを取って何かしら介入の指標を作れればとも思います。
また、他にも興味深いことが書かれていました。
【いわゆる地中海食パターンを継続している方は筋力や身体機能が低下しにくくなるという報告がある】
【地中海食はフレイルや機能低下の予防には役立つもののサルコペニアへの効果は不明確であったとするメタ分析も報告されており、結論は得られていない】
こういった食材による健康法は例えばテレビの「ためしてガッテン」のような番組でも色々挙げられますよね。実際に食材ごとの体への作用は様々かと思うのでこれも今後色んな研究が進んでいき、それを知るのも楽しみでもあります。まあ何でもこれを取ればよい!というわけでは無く、バランスは大事かと思いますが。
サルコペニア治療に有効な栄養療法とは?
今度は治療についてです。リハ栄養の視点で考えるとそれぞれの職種が何をするのか気になるところですね。
他のアプローチ(運動療法)が併用していることを前提でどんな栄養療法が良いか述べられています。
【サルコペニアの予防と同様、治療においてもエネルギー、たんぱく質、その他のビタミン(ビタミン・ミネラル)の1日必要量を充足することが根本的には重要である】
【サルコペニア患者の場合は「サルコペニアを改善するための必要量」を充足する必要がある。このような必要量を推定する方法として、1日の消費エネルギー量に200~600kcal程度のエネルギーを付加するという考え方がある】
【またサルコペニアと摂食嚥下障害を有する患者ではその改善のために35Kcal/理想体重kgを提供することが推奨されており、こちらを用いても良いと考える】
やはりサルコペニアの方には通常通りの栄養療法に加え、摂取カロリー量を増やすことが大事ですね。攻めの栄養療法という言葉をよく見ますが、これに関しては筆者の西岡先生も若林先生と前田先生とともに実践マニュアルを出しています。
この「攻めの栄養療法」ってことば、すごく良くないですか?
初めて見た時、映画の映画の心に刺さるキャッチコピーをみた時のような感覚で、なんだかワクワクするような、力がみなぎるような、とにかく一瞬で引き込まれました。みなさんはどうでしょうか。
攻めていきたいですね!
話がそれました笑
とにかく、サルコペニアの方には通常よりも摂取カロリーを増やしていくという考え方ですね。ただ、注意したいのは高齢者は腎臓病、肝臓病などの疾患のも抱えている場などもあるため、例えばたんぱく質をとにかく摂取するというのは間違いで、その辺についても包括的に見ていく必要がありますね。
他にも具体的な記載がありました。
【分岐鎖アミノ酸の一種であるロイシンは蛋白質同化作用を有し、脳卒中サルコぺニア患者において筋量、筋力の向上効果が認められたとする報告があある】
【施設入所高齢者に対して中鎖脂肪酸を補給すると下肢筋力や日常生活動作能力に寄与するという報告もある】
とのことです。
ロイシンについては筋トレの知識で知っていましたが、中鎖脂肪酸については知りませんでした。筋トレについてもまだまだメジャーな情報しか知らないために、もしかしたらガチガチの筋トレを行っている方やリハ栄養について精通している方はすでに知っているのかもしれませんね。
とにかく、新しい知識であり、こういった知識をもとに多職種で連携をとっていければと思っています。
はい。今回はここまでで終わりたいと思います。
次回はその実践的な部分について引用しながらまとめたいと思います。
ここまで読んでいただけた方、ありがとうございました!
次回も読んでいただけば喜びます!
それでは失礼します。
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