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文献まとめ 医原性サルコペニアについて③ ~多職種連携におけるリハビリテーション科医の役割~

お疲れ様です。

また前回に引き続き、医原性サルコペニアについて文献からまとめていきたいと思います。

タイトルにあるとおり、本日は「多職種連携におけるリハビリテーション科医の役割」です。

リハ栄養は特に多職種連携が必要かと思いますが、どういったことに留意する必要があるのでしょうか。

各々意識して介入が変わるように学んでいきたいですね。

ではよろしくお願いします。

サービスの質を担保するには

【医療サービスの質を担保するには、誰でも同じような対応が出来るように、手順を標準化しておく必要があり、リハビリテーション科医はこのような仕組みつくりを率先して行うべきである】

いきなり論文の趣旨と少し異なりますが、リハビリテーション科医が積極的に行うことは大事ですが、仕組みつくりを絶対医師が行うかと言うとそうでもないかと個人的には思います。

もちろん方針を決めていくのはDrですが、Drの考えや方針を基に他の職種が作成に携わるのもいいのではと思っています。医師と共同で作るというような感じでしょうか。あくまで個人の見解です。

そしてエネルギーをどんどん伝染させていけばいいと勝手に思ったりします。

ただ、手順を標準化したあと対応するにあたり、その医原性サルコペニアとは?そのリスクは?というあたりは同時に勉強会を開くなどして普及しておく必要があるとも思います。

あとは行いながら改善点を見つけ修正しより良いものにしていくことですかね。

入院に伴うサルコペニア発症のリスク

サルコペニアのリスク評価の基準として評価表の例が挙げられていました。

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※文献資料から作成

これは1例ということですが、このようにリスクの評価として、職員が同じ目線で評価できることは大事かと思います。そうすることで漏れなくリスクのある方を拾い上げることが出来ると思います。

まず基準を基にふるい分けをしていって、リスクがあると考えられた方にはより詳細に評価していくという感じでしょうか。

以下はアジアのワーキンググループのAWGSによって作成された、アジア人向けのサルコペニアの診断基準となっています。

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※画像引用 健康長寿ネットHPより

https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/sarcopenia/shindan.html

これはアジア人向けのものです。サルコペニアの診断基準はいろんなものがあって、ヨーロッパのワーキンググループEuropean Working Group on Sarcopenia in Older People(EWGSOP)による定義が有名です。

ただ、アジア人とは体格や身体機能も異なるとのことでこのアジア人向けのものも発案されたとのことです。

ただ、ここで一つ。
筋肉量のDXA、BIAというのは聞きなれないと思います。

DXAは二重エネルギーX線吸収法と言います。X線で体重を骨量、体脂肪量、除脂肪軟部組織に分類し、これによって筋肉量を計測する方法となります。

BIAはインピーダンス法となります。体組成計でも出るもので体に微弱電流を流し、その電気抵抗値の差異によって体組成をみるものですね。よく体脂肪率なんかもこれで測ってみている人もいるかと思います。

このようにスクリーニングでサルコペニアが疑われた場合にはより詳細に調べていく必要がありますね。

早期離床には

【早期離床を円滑に行うには早期離床の開始基準や段階的離床プロトコル・中止基準を整備する必要がある。】

【早期離床を行っていくうえで、リハビリテーション科医がここまではやっていい、と保証することで、医療スタッフも安心して離床を進めることが出来る】

ここでもリハビリテーション科医がしっかりと基準やプロトコルにそって指示を出していくことが重要とのことでした。

僕たちは医師の指示のもとリハビリテーションを行うわけで、離床してよいかどうかもまずは医師の判断かと思います。

ただ離床できる能力があるかどうかの能力の評価はPTさんなんかが専門ですよね。そこでDrに情報提供していくことも大事な部分かと思います。

全身状態が安定していることが前提ですが、こういった意味で多職種も離床について自ら積極的に考え動いていくことが必要ですね。

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画像引用:「ヨーロッパにおける早期離床 最新事情」 曷川 元 早期離床1:5-7,2015 

早期経口摂取の為には

はい、これは僕の職業である言語聴覚士の出番です。

とは言っても、言語聴覚士一人で出来るものでは絶対にないので、もちろん多職種協働で動いていきます。

ただここも、今回のテーマは医師の役割ですので、その視点から。

【早期経口摂取は場合によっては肺炎や窒息のリスクもあり、積極的に進めるためには療法士だけでなく、リハビリテーション科医の関与が必要である。】

【医原性サルコペニア予防のためには守りの栄養管理ではなく、攻めの栄養管理が必要なケースもあり、リハビリテーションの視点から栄養管理に関し、発言していくべきである。】

まず、誤嚥性肺炎などのリスクがあるなかで、Drより「○○はやっていいよ。○○なときは、○○になったらやめて」という指示を受けて開始しますが、その指示があって、その範囲の中で行うと思います。

ここに関しては、医師の指示の下で行っているという安心感が生まれます(僕はそうです)。自分に責任がないという意味ではありません。リスクを伴った介入をする以上、責任をもって行うのは当然です。

スタッフはここでもDrに現在の情報をしっかりと報告し都度適切な指示を受けながら、時には進言したりして進めることが大事かと思います。

そうすることでリスクを最小限にしながらスピード感をもって介入が出来、早期経口摂取に繋がると思っています。

栄養面でも医師を中心としたチームアプローチが重要ですね。

薬剤管理について

【ポリファーマシー対策チームのようなチームを立ち上げることで、対応がしやすくなる】

【医原性サルコペニアを助長させる可能性のある薬のリストを作成し該当する薬の使用の有無について、チームとしてコメントするような形式をとっていくことで、各診療科との良好な関係性を保ちつつ、システマティックな対応が可能となる】

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医原性サルコペニアの予防のためにどんな薬がサルコペニアを引き起こしやすいかは頭に入れておく必要があると思います。

服薬状況、副作用についてDrや薬剤師でなくとも意識していかないとですね。パフォーマンスなどから評価し必要なら医師に相談ということも大事ですね。

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画像引用:厚労省HP 高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)案
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000194792.pdf

この研究の図から6種類以上の服薬で薬物有害事象が発生しやすいということが分かると思います。

目の前の患者さんが薬物によって有害事象を発生しているのかどうかは関わる皆が意識しておくべきですね。

以前僕は服薬状況をあまり意識していなかったこともあったので、反省です。

おわりに

【チームアプローチは手順を標準化することが非常に重要であり、リハビリテーション科医はそのような仕組みつくりに率先してかかわることで、病院全体の医療の質向上に貢献することが出来る】

とありました。冒頭でも載せましたが。これは普段僕もリハ栄養に限らず普段から感じているところです。

チームで行う場合どうしても人が多くなります。そうすると、評価にばらつきがどうしても生じやすくなります。

すべてマニュアル通りとなるとそれはそれで、評価やその先を考えて行うということが難しくなる(応用が利かなくなる)ことがありますが、まずは患者さんの状態を誰がみても見逃さないようなツールが必要となると思います。

医原性サルコペニアという言葉がある通り、見逃されたり、行動が遅れたりすることで発症するリスクが高まるため、普段から気を付けていかなければいかず、これを書いている僕もそうしなければと改めて感じました。



今日はここまでで終わりたいと思います。

また色々学びながら発信もしていきたいと思います。

それではまた!!



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