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回復期で毎日リハビリを頑張る患者さんの気持ちを考えた

おひさしぶりです。
最近公認心理師の勉強を始め、そちらに時間を割いておりnoteにはほとんど手つかずとなっていました。

そんななか今日は自身で経験した回復期から老健に移った患者さんを通して思ったことを記したいと思います。

まず何をお伝えしたいかというと、回復期で自身が担当していた時には鬱々していた方が、老健に移ってから元気そうにしているという例を何例か経験したことがあるということです。

老健と回復期で患者さんの心理状態の変化や、関わり方や生活は何が違うのかということを自分なりに考えました。

それを書き記したいと思います。

僕の病院では老健施設が併設されており、老健に普通に顔を出せます。そこではいろんなことに気づかされます。


回復期でのリハビリ

回復期はその特性上、時期的なものを踏まえ、患者さんは意識状態もだんだん落ち着き、自身の症状に気づいている方も多いと思います(高次脳機能障害など症状として気づきにくい方も多いですが)。

そのなかで急性期から移ってこられた後、「ここでしっかり頑張ろう」という気持ちもあると思います。そして急性期と比べると比較的長い間リハビリが行われます。

患者さんは毎日頑張るなかで出来ることが増えることの喜びがある一方、一定期間過ぎると、改善の限界や、思ったより良くならないことを感じ始めると思います。
そんな時、いら立ち、焦り、絶望感などを感じることもあるのだと考えています。

僕たちセラピストも回復期に入院された当初は改善の余地がたくさんあり、機能訓練を行うことも多いと思います。
当たり前かもしれませんが、それは善し悪しがあるということです。

回復を目指して頑張る、その気持ちはとても良いことであり、実際に改善のための大きな力になると思います。一方患者さんは、自身の症状(出来ない部分)に対して目が向き過ぎるということもあると思います(仕方ないし、当たり前です)。

僕が経験してきたのはそういったところにあると思います。
出来ることが限られるなか、毎日リハビリは続く。こちらからみれば細かい部分は改善しているけれど、本人さんからしたらどうしても失ったところについて考えやすく、「いやまだまだ全然だめだ」という気持ちが強いと思います。思い描いていた経過と異なることが続く場合、それは鬱々した気分に繋がると思います。


老健に移って

回復期は、やはり「リハビリをどんどんするところ」という雰囲気がどうしてもあると思います。それに対して老健は回復期と比べると「生活をするところ」という一面もあると思います。

老健に移った後は毎日リハが行われなかったり、一回のリハビリ時間も短くなることが多いです。

そういった、リハビリが毎日行われないということが「リハビリをして改善しなきゃ」という考えから、いい意味で少し思考をずらしてくれるのかなと感じています。そこにはスタッフさんの良い働きかけもあると思います。

そして老健のスタッフさんたちの関りがやはり回復期とは全く異なることにも気づかされました。
併設されている老健は回復期と比べてアットホームな雰囲気でリハ、介護士さん、看護師さん各々みんなで生活をサポートしているイメージです。

回復身は、やはり職種ごとの役割が強く、各々の役割がメインで動いているに感じます。それが悪いという意味ではありません。連携もしているつもりですが、老健のスタッフと比べると足りないなーと感じることもあります。

とにかく僕が感じたことは、リハは減っても、その方と生活の場面での関りは多いということでした。ざっくり「リハを頑張る」のではなく「生活する」という認識になるのは、こういったところから生まれるのかなとも思います。そう簡単にいくものでもないと思いますが、そういった方も中に入ると感じます。

元気そうにしている利用者さんをみて、心底良かったと思う反面、なぜ回復期にいる間にこういったケアができなかったんだと自分に対してモヤモヤした気持ちを感じました。そして少しへこみました。

障害受容とは

障害の受容(克服)過程は「ショック期」「否認期」「混乱期」「解決への努力期」「受容期」を経て,障害を克服していくと考えられている。

受容の経過は短い人もいれば,長い年月がかかる人もいる。受容しきれないで 20 年以上も経過している人もいる。焦らずに,患者の気持ちを受けとめていくようにしなければならない。

説得して障害を認めさせてはいけない。とにかく聞くことである。

障害受容(克服)-脳卒中患者のこころのうち- 岡本五十雄:Jpn J Rehabil Med 2013 ; 50 : 951.956

文献にあるように、障害受容には過程があり、その経過には個人差が大きいかと思います。
これは臨床に携わっている方においては感じるところかと思います。

否認期や混乱期という過程が存在し、そこであれこれこちらから言うのは酷だと思います。

そういった際に、思いに寄り添うことが大切なんだとつくづく感じます。

僕は学生の実習時にバイザーの先生から「障害受容ってどのくらいかかると思う?」と聞かれて「3か月~半年くらいでしょうか」と言いました。「そんな簡単なもんじゃない」と注意され、上記に似たことをしっかりと教えられたことを覚えています。

確かに今考えると、簡単にそんなことを言って、とてもアホだったと思います。

違いを踏まえて意識すること

こうして色々考えてみると冒頭で記したようなステージや環境の違いによる違いを僕たちは意識して関りをしていくことが大事だと思います。

最初はリハビリで機能改善を目標とすること自体は間違っていないはずです。ただ、機能訓練から、少しずつ切り替えること(今ある機能でどう生活しやすくしていくか、環境調整をどうするか、またそのなかで本人の気持ちはどうか、その気持ちとどう向き合っていくかなど)を考えながらリハビリを行わなければいけないと感じています。

症状を持つ自分とどう向き合っていくかが大事で、それをどう支えていくかということが大事なんだと思います。

なのでお互い回復期、老健各々の良いところを踏まえたうえで、今の時期にはどんなアプローチが大事なのかを常に考えながら行っていかなければと感じました。

まとめ

ごくごく当たり前のことを書いているわけですが、とても重要であると感じているため、今回このように書き記してみました。

何か参考になれば幸いです。

今日はここまでで終わりにしたいと思います。

公認心理師の勉強を今行っているわけですが、こういった部分も今の勉強が活きてくると感じています。人間なので心理面は重要ですね。患者さんの心に寄り添える力の向上、それに応じた適切な対応が出来るようにしていきたいと感じています。

今後ともよろしくお願いいたします。

それでは失礼します!!

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