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サルコペニアの対策

こんにちは。先日の論文がまだ続きであったため、今日も地域住民におけるサルコペニア対策についてまとめていければと思います。

本日も論文は
「地域連携におけるサルコペニア対策」 若林 秀隆 CLINICAL REHABILITATION Vol.29 No.12 2020.11
です。

今回はそのまま対策についてです。人生100年時代、自分たち日本人がこの国で長く健康に暮らすには?

要介護状態にならないためにも皆が意識して取り組めるようになりたいものですね!!

予防について

・適切な栄養摂取、特に1日に(適正体重)1kgあたり1.0g以上の蛋白質摂取はサルコペニアの発症予防に有効な可能性があり、推奨されている。

サルコペニア発症を予防するには(適正体重)1kgあたり1.0g以上の蛋白質摂取が望まれますね。60kgの方は蛋白質を60g以上ということになると思います。

入院中や入所中であれば、提供される食事メニューは管理栄養士さんが立案してくれているので大丈夫かと思いますが(全量摂取の場合)、地域に住む高齢者は自身やご家族が作っているケースがほとんどですよね。

その際に、この蛋白質の量が十分に摂取されているかどうかは、“そのご家庭による”と思います。

高齢者であれば若いころと比べて食事量が少なくなる方が多いですから、十分な蛋白質を摂取するにはどんなものを食べるかなどを計画的に考えなければならないと思います。

特に昔は、現代とは食文化が違っていましたから、野菜を多く摂取される方が多いと思います。

肉類は特に、歯の影響や咀嚼に関連する筋の老化によって、摂取を控えることにつながりやすいですよね。

そうならないためにも、歯の状態や食事全般に関与する筋力等を保つことが重要であるともいえます。

食事の量と併せて、蛋白質の含有量の多い食べ物を知っておくことも大事かと思います。

そういった意味でも地域の健康教室等で栄養についての知識を広めていくことが今後より重要になってくるかと思います。

・運動習慣ならびに豊富な身体活動量はサルコペニアの発症を予防する可能性があり、運動ならびに活動的な生活が推奨されている。

サルコペニアという概念は医療に携わっている方にはよく知られた言葉かと思いますが、地域の方にとってはまだ聞きなれない言葉かと思います。
高齢者がサルコペニアの予防法について知識を深めしっかり食事を取っていくことと、サロン等での運動を行うことはセットで行っていくことが超大事ですね。

サルコペニアという言葉については多分80代の自分の義祖父母も知らないと思います。これを機に伝えてみようかと書いている間に思いました笑

・高血圧、糖尿病、脂質異常症に対する治療薬、アンドロゲン薬、また糖尿病、慢性腎不全(CKD)、慢性心不全、肝不全(肝硬変)に対する運動・栄養管理がサルコペニアの発症を予防する可能性があり、推奨されている。

 これについても、学ばないと知らないことかと思いますので、疾患と栄養リハもセットで考えなければいけません。

例えば慢性腎不全の場合、食事制限がなされますよね。蛋白質の制限、塩分制限、カロリー調整などがありますよね。そうしないと慢性腎不全が進行し透析となってしまうリスクが上がる・・。そうなっては元も子もないですね。

内部疾患については幅広く、僕自身知らないことがまだまだあるため、ちょくちょく見直して知識の定着を図っていかねばと思います。

治療について

・サルコペニアを有する人への運動介入は、四肢骨格筋量、膝伸展筋力、通常歩行速度、最大歩行速度の改善効果があり、推奨されている。
・サルコペニアを有する人への必須アミノ酸を中心とする栄養介入は、膝伸展筋力の改善効果があり、推奨されている。
・サルコペニアを有する人へのレジスタンストレーニングを含む包括的運動介入と栄養療法による介入は、単独介入に比べ、サルコペニアの改善に有効であり、推奨されている。

論文に挙げられていた運動についてですが、自分はSTの為、詳しいことは述べられません。ただ、周囲のPTさんに情報提供は出来るため、積極的に伝えていきたいと思います。

レジスタンストレーニングについては、やはり各々を一緒に行っていくことで効果が得られやすいですね。運動だけ、栄養だけではなかなかサルコペニアの改善には難しいところです。

僕は普段筋トレを行っていますが、やはり全体のカロリーと蛋白質量には特に気を遣っていますし、筋トレの本やサイトを見ても、やはり栄養の大事さはどこでも書かれていて、同じです。

リハ栄養で言われる通り、栄養が足りていないなかで運動をどんどん行うと、アミノ酸や運動するエネルギーを筋肉を分解して作り出すことになり、筋肉がむしろ減ってしまいます

そうなっては本末転倒ですので、せっかくの運動の効果を上げるためには、こういったことを意識してかかわらなければいけませんね。

後期高齢者の質問票(フレイル健診)

厚労省は2020年から後期高齢者を対象に、後期高齢者の質問票(フレイル健診)が義務化しました。これはフレイル予防、疾病予防、重症化予防のために実施された15項目からなる質問票です。

後期高齢者の質問票の構成

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 ※画像:厚労省HP 「後期高齢者の質問票の解説と留意事項」より引用    https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000557576.pdf

このうち、食習慣、体重変化、運動・転倒に関する以下質問に該当する場合には、サルコペニアの可能性を特に疑うべきである。
食習慣:1日3食きちんと食べていますか
体重変化:6か月で2~3kg以上の体重減少がありましたか
運動・転倒:以前に比べて歩く速度が遅くなってきたと思いますか
      この1年間に転んだことがありますか
      ウォーキングなどの運動を週に1回以上していますか

僕は3年前より自立支援型ケア会議に参加させていただいておりますが、やはりだんだん活動量が減ってきた、動くのがつらくなってきたなどのエピソードがある方は、この辺も該当する方は多いと思います。

脳卒中などによる後遺症などと異なり、高齢者ということで、様々な要因が引き金となっていますし、おのおの結び付いていますよね。

だからどれかひとつだけ改善するというのではなく、全体をみる視点(包括的視点)が重要になりますね。

生活の一部の困難さがあるとすると、例えば歩きにくさが出ているとして、じゃあ栄養はどうなのか、食事はどうなのか、社会的交流はどうなのか、とその他のことについてもアンテナを高く張っておき、評価する必要があると思います。


論文ではそのほかに
急性期病院でのサルコペニア対策
高齢者施設でのサルコペニア対策
についても書かれていました。各々の場所で留意すべき点は異なると思うので、疾患の理解、高齢者の特性の理解、栄養と運動に関する理解が重要かと思います。

かかわるスタッフがおのおの知識を持ちよって発揮し最善の介入が出来るといいですね。

はい、今回はここまでで終わりたいと思います。

次回はまた同論文から医療連携で必要なサルコペニアについて学んだことを書きたいと思います。

ここまで読んで頂きありがとうございまいた。

また読んで頂ければ喜びます!!

ではまたー!

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