【映画レビュー】「SEXエド チェリー先生の白熱性教育」(2014年 アメリカ)~人は悲しみから冷めて大人になる~
【タイトル】
「SEXエド チェリー先生の白熱性教育」(2014年 アメリカ 93分)
監督 アイザック・フェダー
脚本 ビル・ケネディー
出演 ハーレイ・ジョエル・オスメント
【解説】
名作映画「シックスセンス」「A.I.」に出演した名子役、ハーレイ・ジョエル・オスメント。
だが、子役時代に有名になりすぎた反動か、彼は大人になると飲酒運転、薬物所持など、荒んだ生活を送っていた。
そんなハーレイ・ジョエル・オスメントが再び、俳優として復帰したのが本作である。
【あらすじ】
ハーレイ・ジョエル・オスメントが演じる新人教師・エドは童貞で冴えない青年。
ようやく教師になれたのだが、彼が担当するのは性教育の教師だった。
女性経験のない彼は上手く性教育が出来ずに頭を悩ませ、授業をしても生徒たちはふざけるし、さらに教え子の姉に恋をするも上手く行かず、保護者達からは不快だと言われるわで散々。
そんな教育の現場に苦悩する若き教師の姿をハーレイ・ジョエル・オスメントが熱演している。
【感想】
コメディではあるが性教育がテーマなだけあり、内容はしっかりいる。
冴えない童貞教師が徐々に人間としても教師としても成長していく姿は観ていて面白かった。
「誰も教えてやらない性について、子供達は人の話やネットを見て誤解して、危険なことになったらどうするんです?親には恥ずかしくて聞けない。だから、質問に答えてくれる教師が必要なんですよ」
ハーレイ・ジョエル・オスメント演じる童貞教師が保護者に向けて言ったこのセリフはかなり良い。
性教育も人間にとっては大切なことなのに、それを大人が子供に正しく教えず、むしろタブー視しているのはどうかと思っていたので、このセリフは目から鱗。
また、挫折した主人公にクラブのママが言った「人生マニュアル通りじゃない」、「理想の自分を目指しなさい。そうすれば道は開ける」というアドバイスも心に響く。
ラスト。
エドはある決断をしてチャンスを逃す。
落ち込むエドの前に、クラブのママは言う。
「あなた、男の顔になったわよ」
人はどうすれば大人になるか?
大人になるということはどういうことなのか?
そもそも、大人になる定義とは?
本作は性という人間が避けては通れない問題に、真っ向から挑んだコメディ映画だと私は思う。
また、人気子役というプレッシャーに圧し潰れ、一時は俳優業から遠ざかったハーレイ・ジョエル・オスメントが再び演技に向かい合った映画でもあり、この映画は避けては通れない問題と向き合うことを描いたのかもしれない。
余談ですが、ちょうど復帰した時期だったからか、ハーレイ・ジョエル・オスメントくんは「Mr.タスク」にも出演しています。