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青春の思い出な、KANさんの曲

中高生の頃、札幌テレビ(STV)のラジオ番組にハマってたことがある。
(今はラジオ側は「STVラジオ」に分社されたけど、当時はラテ兼営局だった。)

北海道の民営ラジオ局はAMだけでも2局あり、だいたい夜9時頃から若者向け番組でシノギを削り続けている。

当時は「うまいっしょクラブ」が爆発的に人気を博していた。私がそのうまクラにハマッた頃、メインパーソナリティであるアナウンサー・明石英一郎氏がもうひとつ深夜に番組を持っているのを知り、やがてそちらにも聴くようになった。

それが「アタックヤング」、通称「アタヤン」だった。

アタヤンは毎日日替わりの7名のパーソナリティで持ち回る番組になっていた。
最初はもちろん明石アナの番組から聴き始め、当時「明石・洋二の“ん”!?」などでセット売りされていた木村洋二アナウンサーの番組も聴くようになった頃に、田舎(※札幌基準)の中坊にとっての大事件が起きた。

「近所のホールで、アタヤンパーソナリティが揃うイベントをやる…だと!?」

こうして、これまで私が把握していなかった方々も含めて、初めて生で彼らを観ることができた。

その途中、シンガーソングライター2人のトークコーナーがあったのだが、

コンビのトークが巧すぎて腹筋崩壊(ノ∀`)

当時はKANさんもみのや雅彦さんも知らなかったというのに
(正確には「愛は勝つ」で曲こそブレイクしていたのだが、KANさんの人となりは知らなかった)
気がつくと大爆笑させられていた。

もちろん、以後は彼らのアタヤンも聴いたし、寝不足がMaxになって家族に叱られるまであった。

というわけで、これがKANさんのラジオ番組と私の出会い
そして、KANさんを生で拝見したのが、このアタヤン公録が唯一となってしまった。

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ラジオの影響もあり、KANさんの楽曲も中高生の頃はよく聴いていた。

最初に手を出したのが「愛は勝つ」が含まれるアルバム「野球選手が夢だった。」ではなく「ゆっくり風呂につかりたい」だった。
私にとって「野球選手〜」以前の作品に遡るとピンとこなかったりした。「言えずのI LOVE YOU」や「Day By Day」はアタヤンでラーニングさせらているけど。

アルバムで数えるなら「東雲」頃まではCDを買って聴いていた。

とはいえ、実は引っ越しにともない朝早起きしなければ高校に通えない生活に変わっており、深夜ラジオをあまり聴けなくなったため、アタヤンを基準にすると記憶は薄くなっている。
金曜と土曜の夜はある程度頑張っていたが、やはり限界はあった。

ギリギリ聴ける時間に「船守さちこのスーパーランキング」という歌番組が放送されていて、これでKANさんの曲のリリースを知ったりしていた。

更には、大学進学で他都道府県の電波が届かない青森県の盆地にブッ飛ばされたので、夜中なら東京都ですら聴けるというSTVラジオの番組と縁が切れてしまった。
そして、KANさんの音楽活動とも。

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前述の通り、KANさんはトークも面白かったし、アイデアに溢れ、サービス精神旺盛という印象が強いのだけど、

自分の生み出す音楽へのプライドが人一倍強いイメージもある。

「愛は勝つ」で紅白に出た時の扮装がモーツァルトだったりしたのも、長くピアノを学んでいたところからくるプライドを示したものだ、みたいな話をしていた記憶がある。(うろ覚え…)

いろんな洋楽を聴いてる関係で何でも語れるし、その要素を使っても曲が作れる人だった。ビリー・ジョエル、スティービー・ワンダーはいかにも影響を受けてる雰囲気だけど、マイケル・ジャクソンすら好んで聴いて、かつパロっていたりもする。

天才なんだけど、音楽に対しては誰にも負けたくないっていうプライドに満ち溢れていたように思う。
また、飄々としているようで「めずらしい人生」(曲名の方)のような闇がよく出力されるのも人間臭さがあって良かった。

「愛は勝つ」というわかり易すぎる曲が売れてしまった関係で、その後しばらくは作品作りで悩んでた風には感じた。そういう理由からか、カラオケが趣味な人にとっては難しくてツラくなる旋律(笑)が多くなっていったのよね。
個人的にアルバム「弱い男の固い意志」の頃が好きだったのだけど、この時期は特にKANさんが「自分にしか歌えない曲」を意識して作っているように感じられる。

さりとて、やっぱり「愛は勝つ」そのものは超名曲だと思う。
単純明快にして誰でも歌える曲。それでいてアレンジにしれっとゴスペル調コーラスを挟んでるバランスのとり方。これはKANさんにより生み出される運命の曲だったと思う。

山田邦子氏に愛されつつ、「愛はチキンカツ」とかでいじられたのも良かったと思う。この辺、洒落者なKANさんだからOKだったのだろう。なんならご本人歌ったこともあるし…。

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11/17。

私の青春の思い出に深く刻まれた人の訃報に、さすがにショックを隠すことはできなかった。
よりによって仕事の合間にスマホ見て知ったので、その先涙目になり、ガチで泣く前に

カラオケを予約した

KANさん縛りを中高生の記憶だけで歌えば(しかも配信されていない楽曲多過ぎだし)1時間で限界くるわーと思っていたら、2時間近く経ってまだ曲が残ってたという展開に。
だいぶあやふやな記憶で歌った曲を含めてだけど、そんなに覚えていたなんて(;・∀・)

ティーン時代の記憶力ってやべーな。

それでわかったことなんだけど。
下手な素人のカラオケは結構テンポでごまかしたりすることが多いけれど、KANさんの曲はそれをするには遅い。
丁寧に音を置いていかないとメロディにならないのに、そんなテンポでフェイクとか入れまくってたのは、控えめに言ってヤバいのよね。

元々1コーラス目と2コーラス目を同じフレーズにするの嫌がってる風もあって、記憶の通りに完コピするには聴き込まないとたぶん無理。ぶっちゃけ今手元に残ってる音源あまりないから、音源買うかサブスクを引っ張るかが必要。

で、それを可能にする声量で「愛は勝つ」を歌うと、放っといてもパワフルな歌い方になってしまう(笑)。
元々応援歌でもあるからよりパワフルに、というのも考えて歌っていただろうし、曲を通しての歌唱プランは美メロなタイプの特撮ソングと通じるところがあるように思った。

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余談。
KANさんのアタヤンの「イマジン」のコーナー、あれを説明するのめっちゃムズくないですか。

シュール系なんだけど、単に「シュール」というと何かが足りない。というか私自身どこまで「イマジン」を捉えきれえいるかわからない。あまりに非言語的なものに依存した面白さだったんですよね。

ジョン・レノン「イマジン」に載せて、唐突にポツンと放った語句から、イメージされるものを味わうコーナー。語句はイマジンの1小節に収まる程度の簡潔な言葉、かつ日常的なものに限られる。求められる語句に求められる条件に最も近いのは「ジワジワくる」だが、コーナーそのものが高度なシュールさに満ちており、この空気感においてどの程度面白さが増幅するかも重要となる。

こんな感じだとある程度通じるだろうか…?

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