事業のネタ帳 #34 Verticalサービス × コンパウンドスタートアップ
皆さま、お元気ですか。初めましての方も宜しくお願い致します。
ジェネシア・ベンチャーズ鈴木です。
またもや久々のnoteとなってしまいました。
ジェネシア・ベンチャーズのキャピタリストで継続的に発信をしている【事業のネタ帳】シリーズですが、引き続き、個人的に考えを深め続けたいテーマとしての「Verticalの未来」に関して、「Verticalサービスの進化と深化」として僕が主戦場としている新興国スタートアップの具体的な事例を交えて紹介していきたいと思います。
皆様の事業を考える際の思考の補助線となれば嬉しいです。
「事業のネタ帳」のバックナンバー(#1から#32)はこちら
何故、新興国スタートアップを取り上げるのか?
何故、新興国スタートアップの事例か、と言うと日本では既存産業のデジタルトランスフォームが進行しているが、既存産業とのカニバリゼーションが発生してしまうこともあり、歩みが遅くなってしまっている一方で、新興国では既存産業がオペレーション含めて未成熟な分、デジタルを基盤として基幹産業がスピーディーに立ち上がっており、結果として、LeapFrogな成長が実現している為、日本のスタートアップにおいても何かしらの思考の補助線となるようなヒントが多いようにも考えているからです。
コンパウンドスタートアップとは
皆さま、コンパウンドスタートアップと言う言葉は聞いたことありますか?
今回は、まだあまり聞き慣れないコンパウンドスタートアップをベースに「Verticalサービスの進化と深化」と絡めて考えて行きたいと思います。
コンパウンドスタートアップとは、米国のスタートアップRippling CEO Parker Conradが提唱するスタートアップの新たな競争戦略となります。
彼は、ご存知か分からないですが別のユニコーン企業でもあるZenefitsの元CEOであり、Zenefitsでの失敗の経験を元に、Rippplingを創業。
現在は、コンパウンドスタートアップという従来のセオリーとは異なるやり方で大成功を収めています。
詳細の説明は、私がするよりも、2022年12月に公開された素晴らしいnoteを公開されているLayerX福島さん、そしてAll Star Saas Fundの神前さんから引用させて頂ければと思います。
まだ読まれていない方は必読な記事となっています。
コンパウンドスタートアップの特徴
コンパウンドスタートアップの特徴に関しては、Layer X福島さんのnoteが非常に分かりやすく整理されていたので引用させて頂きます。
Verticalサービスとしてコンパウンドスタートアップをどのように捉えるか?
フォーカスすべきデータは何か?
私自身は、これまで何度か書いてきた「事業のネタ帳」を通じて以下のコメントを繰り返し発信してきました。
また福島さんがまとめられていた「コンパウンドスタートアップの特徴」の中で、どれも重要なのですが事業の勝ち筋を見出す、と言う意味では「focusすべきは何のデータを中心に考えるか」が重要であると考えています。
なお私自身、今は無くなってしまいましたがTechCrunch Japanの年末年始企画である○○年の展望的な寄稿で2017年頃から以下のようなことを提唱し続けており
この価値が出てくるである"あるデータ"こそFocusすべきデータであると考えています。
またAll Star SaaS Fund神前さんのnoteでも関連して以下の言及をしており、私自身としても非常に重要であると考えていたところでもあり紹介させてください。
フォーカスするデータ以外に創業時のスタートアップが意識するべきポイント
スタートアップの立ち上げセオリーとして「まずは一つのプロダクトで突き抜けて、その後、横展開をしていくのが良い」とされています。
一方で、個人的に考えるVerticalサービス(特にVertical SaaSの場合)は、単一ソリューションを提供したとしても、そもそも価値を発揮することが難しいと感じています。また、特定産業の課題を解決するSaaSとなると、TAMの制約も出てくる為、最終形態としては、All-in-oneや複数のプロダクトを展開の必要性が高いビジネスであると考えています。
そう考えるとやはりフォーカスするデータを主軸にコアとなる価値を磨き込むことが結果として事業のMOATを築いていくものだと考えてます。
その上で、コンパウンドスタートアップを作る上で創業期の起業家・経営チームにとって重要だと感じているのが
そもそも単一プロダクトを成功させることすら難しいので、コンパウンドスタートアップはめちゃくちゃ立ち上げ、スケールの難易度が高い戦略だと考えています。
一方で、将来的に複数プロダクトを創るつもりと漠然と考えている場合と、初期から複数プロダクトを創るんだと覚悟を持って組織設計を行う、のとでは、全然違う組織が出来上がると考えています。
LayerX福島さんのこの言葉にもとても共感しました。
新興国スタートアップはコンパウンドスタートアップが多い
これまで複数回に渡って「事業のネタ帳」として「Verticalサービスの進化と深化」で紹介している新興国スタートアップは、まさにコンパウンドスタートアップと言えると感じています。
改めて過去複数回の「事業のネタ帳」で紹介したインドネシアのスタートアップを紹介します。
Sinbad -サプライチェーンの効率化-
当社は、FMCG向けサプライチェーンの商取引の効率化を目指すスタートアップです。
当社がフォーカスするデータは、小売領域のサプライチェーン全体(川上から川下まで)の商流データ(取引、在庫情報など)の可視化にあります。
詳細は以下引用先のnoteにまとめさせて頂いています。
興味がある方いたらぜひ読んでみてください。
BukuWarung -SMEsのエンパワメント-
当社は、小規模事業者向け帳簿管理アプリによる市場参入したスタートアップです。
当社がフォーカスするデータは、パパママショップと呼ばれるSMEsの小売店の財務記録をデジタル化にあります。
詳細は以下引用先のnoteにまとめさせて頂いています。
興味がある方いたらぜひ読んでみてください。
Logisly -物流事業者のマッチング・効率化-
当社は、荷主と物流事業者をオンライン上でマッチングするサービスを提供しています。
当社がフォーカスするデータは、荷主(特にエンタープライズ企業)の輸配送データにあります。
終わりに
この記事に共感いただいたVertical領域にチャレンジされる起業家の方(起業を検討している方)、あるいは別のアプローチの方が筋として良さそうという仮説をお持ちの方(自身の仮説が正しいとか唯一解だとかいう考えは一切持っておりませんmm)、まずはぜひカジュアルに事業ディスカッションさせてください!
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