野良デザイン#86-90|自転車カゴのネットホルダー
こんにちは。
本来の用途を超えて活用される道具「野良デザイン」。
街に溢れる工夫の数々に、生活のリアルと、道具の可能性を探る試みです。
毎月第1・第3日曜に、発見した野良デザインの記事を更新しています。
予想もしなかった道具の可能性との出会い。noteユーザーの皆さまと、発見の楽しみをシェアできましたら嬉しいです。
いいね&フォローいただけましたら励みになります!
野良デザイン#86|自転車カゴのネットホルダー
電柱や標識、ブロック塀の角。地域のごみの収集場所は、何かと目印になるもののふもとに設けられます。
道路沿いの街路樹もその一つ。
銀杏の太い幹に針金を回し、ママチャリでお馴染みの自転車カゴが取り付けることで、ごみ収集場のカラス避けのネットを保管する場所として活用されている野良デザイン。
長いことこの活用がされてきたのか、幹の形状も針金やカゴに合わせて歪んでいるよう。元々異質だったものが、時を経ると共に同化してゆく。自然の適応力の神秘を感じます。
野良デザイン#87|旗立てのチリトリホルダー
喫煙禁止や交通事故の喚起。街の至る所にのぼり旗が立ちます。
この旗も、大阪のとある市によって、路上喫煙とポイ捨てを無くすことを目的につくられ、立てられた旗です。
のぼり旗が風に煽られても倒れないよう、水の入ったプラスティック製の旗立てが使われることが一般的です。
この野良デザインでは、しっかり者の旗立てと、更にしっかり者のコンクリート塀の隙間を、チリトリ置き場として活用されています。
家の前の道を綺麗に掃除する日課のある素敵な方が想像できます。
野良デザイン#88|ガードレールの箒立て
色づいた葉が落ちる季節。落ち葉の絨毯は目にも耳にも楽しいものですが、その掃除となると、とたんに面倒なものに。
道路の落ち葉を綺麗に掃くには箒が必要。
本来車道と歩道を区切る柵として設計されたガードレールの、ポールと柵の連結箇所に生じた筒状の空間を、箒の保管場所として活用する野良デザインに出会いました。
お隣の落ち葉で満ちたゴミ袋も良いツーショット。
野良デザイン#89|看板フレームのバッグ掛け
都市に電力を供給する電線の中継点として作られた電柱。その背の高い公共物という特性から、看板・宣伝メディアとしての機能も獲得したようです。
電柱に看板を掛けるための鋼柱。その角を、肩掛けカバンを掛けるフックとして活用した野良デザイン。このカバンは、すぐ近くで車道整備にあたっていた作業員の持ち物と思われます。
地面への直置きがためらわれたのか。ちょうどいい場所を見つけましたね。
野良デザイン#90|ベンチの帽子掛け
レンガが敷かれた、緩やかな階段状の坂の途中に、柱2本とリング状のパイプを組み合わせただけの、シンプルなベンチがあります。
その柱を見てみると、落ち着いた青色のハットが1つ、掛けられている。
おそらく落とし物でしょう。道に落ちた帽子を見つけた心優しい方が、後で戻ってきた落とし主の目に触れやすいよう、ベンチの柱に掛けたようです。
「落とし物置き」という役割が規定された道具や場所がなくとも、優しい心がその場を生む。生活や文化は、規定が全てではないことを教えてくれる野良デザインでした。
最後までご覧いただきありがとうございました。
では、また次の記事でお会いしましょう。
眞木孝明