野良デザイン#01|風呂蓋をかぶった室外機
こんにちは、デザイナーの眞木です。
街で出会う匿名の工夫「野良デザイン」の蒐集をテーマに、街歩きがもっと楽しくなるような記事を投稿しています。
街の景観となるエアコン
インターネットに鉄道。現代の生活に欠かせないものは数あれど、エアコンもその一つではないでしょうか。
かつては贅沢品だったエアコンも、今ではワンルームの賃貸ですら付いていることが当たり前になるほど、身近なものとなりました。
このエアコン、私たちの家庭で使われるものの多くは、部屋の壁に掛けられた室内機と、屋外に置かれた室外機のセットが、屋内外の熱を交換し合うことで空調する「セパレートタイプ」といわれる空調方式が採られています。
マンションのベランダに整然と並ぶ室外機。家と家の隙間に密生する室外機。街の景観に散らばる室外機の数は、そこに暮らす人の生活の数を表わすようになりました。
室外機と日差し
おうちで過ごす時間を快適にしてくれるエアコン。その一方で、空調にかかる電気代は私たち現代人を悩ませることの一つかもしれません。近年ではエアコン自体の効率が劇的に高くなっているのですが、空調にかかるエネルギー消費量は膨大、街には空調効率を更に高めるための工夫が多く散らばっています。
例えば、室外機を温めてしまう太陽光を遮断すると、特に冷房シーズンの空調効率が高まるのですが、街を歩くと、様々な屋根が架けられた室外機たちに出会うことができます。
実は家電量販店のエアコン売り場でも、このような付属品を買うことができます。
風呂蓋をかぶった室外機
さて、今回取り上げる野良デザインは、風呂蓋をかぶったエアコンの室外機です。
まず目に止まるのは、縦長のフォルムです。
何と、お風呂の蓋が室外機のひさしとして再利用されているのです。巻物のように丸められるアレです。先ほど挙げた専用の屋根たちと比べても独特な光景ですよね。
よく見てみると、風呂蓋の上部には小さな穴が開けられており、背面の窓枠に結ばれた4本の細い針金で吊られています。
完全に固定しないのは、もしかすると加工の難しさが原因かもしれませんが、強い風をうまく受け流す面白いデザインだと思います。
室外機の幅よりも僅かに長い風呂蓋が、コの字状に室外機にハマっていて、まるで烏帽をかぶっているような見た目もキュート。
お古の風呂蓋を再利用したのか、手放されたものを見つけたのか。サイズのぴったりさは偶然か計算か。この意外な組み合わせがデザインされた背景に思いが馳せます。
みなさんはどんなストーリーを想像しますか?
是非コメントで教えてください。
では、また次の記事でお会いしましょう👋