X design 学校 第2回 エスノグラフィ/行動観察
【トライアンギュレーション】
異なる調査方法、異なる調査者、異なる調査対象、異なる理論・・・複数の視点、考え方で検証することが、よりよい結果に近づく、あるいは妥当性を高めるためのキモということ。とにかく、ひとつの視点で知ったつもりにならない。
あきらかに一方的な視点や、都合のよい理屈を寄せ集めてまとめる企画とか、時間がないときに陥りがち。Webサイトの一コンテンツぐらいならコレでもごまかせる(=納品できる)けれど(その効果はいざしらず)、ビジネスデザインなどもっと全体的・包括的な話になってくると、ずさんな態度は当然、馬脚を顕すだろう。
【質的調査】
1次情報を得るために、現場を観察しマインドを知る(「エスノグラフィ」「行動観察」「インタビュー」)。そしてこれを分析することで、「コンテキスト」「ゴール」「プレファレンス」が見え、ソリューションの発案につながる。
「コンテキスト」=行動・行為
「ゴール」=目的・目標
「プレファレンス」=但し書き・条件
というふうに自分はとらえた。
いずれにせよ最初の観察と分析を丁寧に進めないと、そのあとがグダグダになりそう。なんでもそうだけれど、結局土台がしっかりしていないと上家が堅牢にも美しくもならない。
【エスノグラフィ】
調査対象の一員として参加して「自分ごと」としてとらえること。自分ごとにしないと課題は把握できない。
先日偶然見たNHKのクイズ番組で、安旅を好む若い旅行者と、人手が足りない過疎地の労働力探しをマッチングするサービスを紹介していた(番組では名前を出さなかったがおそらく「おてつたび」)。一人旅が好きで日本各地を安旅していた創業者が、繁忙期に人手が足りない農家にしばしば出会ったことがきっかけで、旅人にレア体験(=農業)や安宿(=民家)を提供する一方、農家の一時的な人手不足を解消(=旅人が手伝う)すべく立ち上げたというこのサービスは、きっと、創業者自身が旅先で世話になった人の話を実際に聞いたり仕事を手伝う経験を経て、旅先で世話になる人々への恩返し(=自分ごと)を考えて思い立ったビジネスなんだろうと想像された。
「調査対象の一員として参加し・・・」とまとめられると何やら客観的・打算的に聞こえるが、上のような事例を見ると、ナチュラルに主観的に「自分の問題として解決したい」という純粋に湧き上がる情熱こそが、質の高いサービス・製品に結実するんだろうな、と思う。
【行動観察】
観察法は、観察者と被験者が同じ空間にいる「参加型」と、両者別空間にいる「非参加型」がある。前者はさらに接触・対話する「交流的観察」と、接触しない「非交流的観察」があり、非参加型には、ミラールーム越しに観察する「直接観察」、ビデオなどを撮影し別のタイミングで分析する「間接観察」がある。
上記の番組はまた、フードコードから脚高の赤ちゃん椅子をなくし、かわりに赤ちゃんを“収める穴”を開けたテーブルを設置、赤ちゃんづれ客に絶賛された例も紹介。店の担当者は「地元の主婦にインタビューした結果」とサラッと語っていたが、たぶん、地元の主婦から「フードコートで子供を抱えながら店の隅から赤ちゃん椅子を引っ張ってきたり、赤ちゃんを横に置いてでは自分も赤ちゃんもうまく食べられない」という不満が出たのだろう。顧客から詳細をインタビューし、赤ちゃん連れの客を観察(参加型/非交流的観察 or 非参加型/間接観察)したうえで、座らせるのではなく「収める」というアイデアに至ったのではないか。つまり行動観察の賜物だろうと想像する。これもまた、子育て経験のあるフードコードスタッフがなかば「自分ごと」として取り組んだのは間違いないだろう。
【PDU事例を考える】
課題の事例探しは、スマホのアプリのアイコン群を眺めながら、自分はハンドメイドマーケットの「Minne」を選んだ。が、スマホにダウンロードしていたAppのアレもコレもプラットフォームなのかと、あらためて気付かされたし、なんとなく「便利〜」ぐらいの気持ちで使っていたサービスを「PDU」で俯瞰的に見る機会になり、少し賢くなったような気分。