![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/112868395/rectangle_large_type_2_d7cab0284fb295de1f471252e44db53f.jpg?width=1200)
読書6 『16夜荘ノート』
古内一絵著
マーケティング会社に勤める大崎雄哉は31歳。29歳でグループ長に抜擢されて、毎年確実に利益率をアップさせ、2年連続社長賞に輝いている。
そんな雄哉の元に、ロンドンに住む母方の祖母の姉にあたる、大叔母の玉青が亡くなり、その不動産を雄哉に引き継ぐという連絡が入る。
戦前は祖母の家系は華族だった。東京のその屋敷は『十六夜荘』という、シェアハウスになっていて、住人もいる。
『十六夜荘』の住人に、地に足がついていない生活をしていると感じた雄哉はうんざりし、一方的に退去を促し、ここを売るための手続きに入る。
****************************************
玉青が生きた激動の時代、昭和13年から昭和22年までの出来事と、雄哉を巡る今の時代との話が交互に進んでいきます。
それまでは常に自分が正しく、何の無駄も許さずに生きて来た雄哉が、思いもよらないしっぺ返しに合うことになります。それをきっかけに、関心がなかった大叔母がたどった人生を、知りたいと思うようになるのですが、知っていくうちに、衝撃的な事実が見えて来ます。雄哉自身も大切なものが見えて来るようになります。
雄哉が『十六夜荘』で食べた素朴な食事に「味がする」と言いました。どんな高級料理にも、味わって食べていなかったことに気づきます。
何を大切にして生きたらいいのかを、大叔母から感じたようでした。
裏切りがあったり、悲惨な内容もあります。それでも、やさしい人がたくさん出てきて、心に沁みるお話でした。
#読書
#古内一絵
#十六夜荘ノート