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興居島旅行記/一つの空間に自分達しかいないことが持つ意味
少し前になるのだが、愛媛県松山市からほど近い離島、興居島に小旅行をしてきた。
泊まったのはゲストハウスnagare。
noteで出会い、仕事上でのお付き合いとなった大塚さんの複数運営するゲストハウスの一つである。
東京で映像制作の会社を運営しながら、松山市や今回の興居島でゲストハウス運営をしているという属性だけでも異色なのだが、知れば知るほど魅力的な方である。
各方面への新たなチャレンジや物事の捉え方など、会うたびにワクワクを与えてくれる、私にとってはそんな存在である。
メインは松山市三津浜にあるこちらのゲストハウス。
帰りがけに中を見学させてもらったが、細部までこだわりぬいた斬新なデザイン。ここで仲間と一晩過ごしたら、ざぞ楽しいだろうなと思わされる特別な空間であった。
今回は日程的に許されなかったが、必ず近いうちに泊まってみたいと思っている。
■モノクロの時間
話を戻すと、今回は「何もしない、をやりにいこう」というちょっとした自分なりのテーマがあったので、今回は敢えて離島の興居島の方を選ばせてもらった。
都会の雑音から離れたいという気持ちがそうさせたのかもしれない。
待っていたのは、どこか懐かしいモノクロの風景とゆったりと流れる島時間。
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実家、あるいは幼い頃泊まった親戚の家に帰ってきたような気持ち。畳に寝転ぶと、そんなノスタルジックな感情が湧いてきた。
地方に実家にある方だと、なかなか帰りにくい状況が続いているので際立ったのかもしれないが、自宅や親戚の家以外で、これほどまで心の原風景に戻れる場所があるのは新しい発見だった。
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隣には、トトロで出てきそうな大きなクスノキと小さな神社。
この階段だけでなく、島中の海岸付近でそうなのだが、歩くたびにカニが地面をそそくさと通り過ぎる。武器を持った、勇敢な小さき先住民である。
■ゆったりと流れる島時間
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軽自動車でなければ入り込めないくらいの細い山道をくぐり抜け、島の中心部へと足を進める。登っていく途中、数え切れない程のキジに出会った。
山道を抜けると、そこにはなんとも穏やかな景色が広がっていた。
そんな景色を見ていると、風に乗って蜜柑の香りが仄かに香ってくる。まだ青いその果実は、雨露に濡れてより瑞々しく見える。
島の至るところに蜜柑の運送用のレールが敷かれていて、それも風景の一部になっているから面白い。目の前の原っぱでは、至る所でペアのアゲハ蝶が仲良さそうに飛び回っていた。
そんなゆっくりとした島時間が流れる。
■一つの空間に自分達しかいないことが持つ意味
この興居島ゲストハウスは、清潔さこそ高いレベルで保たれているものの、食事は付いていないし、アメニティだって最低限のものしかない。
でも、寧ろそこが良かった。
旅先で料理を作るという体験は、ある意味で新鮮だと妻は言った。あたかもその土地で暮らしているかのような、そんな地に足をつけた生活体験ができたからだ。
設備や人だってそう。この場所においては、充実し過ぎた設備は寧ろ邪魔になる。仲居さんがいればどうしたって頼りたくなる。
それよりも、その場所で、自分の目で見て、自分の頭で考えて、現地の人に聞きながら、ここでしか出来ないことに意識を向ける方が魅力的だと思う。実際に、珈琲屋さんに珈琲を頼んでいる間に、そこで知り合った現地の方に観光地を案内してもらってとても良かった。
ゲストハウスというものに初めて泊まって気が付いた点であり、ここが旅館やホテルと決定的に違う点だと思うのだが、「一つの空間に自分達しかいない」という状況が、そんなその土地に向き合うきっかけをくれたように思う。
あることが得を生むこともあれば、損を生むこともある。逆に、ないことが損を生むこともあれば、得を生むこともある。
そんなことをふと思いながら、ゆっくりと島の時間を過ごしてリフレッシュすることができました。
離島でのそんな時間、お勧めです。
◆興居島ゲストハウスnagare