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/第3回/行く予定のなかった花火大会


間近で地べたに座って観る花火の音って、なんでこうも心臓に響いて心臓を押し出そうとするんだろう。

始めは反抗する自分が居て、自分だけが置いてかれてるようで、それがどこか懐かしくて、心地良くて、求めるようになって、慣れた頃には終わってて____


花火大会って夏の全てを体現してると思う。


夏は好きですか?嫌いですか?


20回目の夏を迎えても、僕はまだ自分がどちら側で生きてるのかは分からないです。

まぁ、夏が好きな人と嫌いな人で戦争が始まる訳じゃないし、こんなのどっちでも良かった。


こんばんは、maison です。

今年は"平成最後の夏"みたいですね。

良いですよね、字面が。
根拠は何も無いけど、何かが起こりそうなところが。
1人で勝手に期待してしまうところが。


実は昨日、彼女と花火大会に行ってきました。

元々、浴衣を着て一緒に行こうと言っていた花火大会ですが、行く予定では無かった。

なにせ昨日は彼女に振られる"予定"だったから。

(予定の理由は前回の話を読んでもらえれば...)

そうです。今回は第2回の続きですね。
あの後、結局お前はどうなったんじゃい!という奴です。ノンフィクションでお届けしますね。笑

「じゃあ、一昨日の話 聞こうか?」


昼に待ち合わせをして、1300円のランチを食べて、そのままカフェに入ってアールグレイとスムージーを注文した。

「ミルクとレモンどちらをお付けしますか?」

「ミルクでお願いします。」

「かしこまりました。少々お待ちください。」

店員のお姉さんがカウンターに戻って行くのを確認した後、僕はこうやって切り出した。


一方的に別れを告げられる事を覚悟していた僕は、何も言うことも言い返すこともしない覚悟をしていたが、彼女は自分の中でも気持ちが纏まってないようだった。

そんな気がした。本当に別れると決心した女の人はわざわざ話し合いをしに彼氏の前に現れない。突然LINEもインスタもブロックしたり、ポストに合鍵と手紙だけが届いていたり____



結局、僕たちは付き合ったままでいる事になった。


他に好きな人が居るという相手に俺の事だけを見ろと言っても無理だし、こんな関係は良くないって話す相手に俺はそれで良いから罪悪感とか後ろめたさは気にしなくていいと言っても人間無理だと思う。


「別に俺が知らない所で何してようと気にしないよ。一緒に居る時に楽しそうにしてくれてたら俺はそれで良い。」

「自分のモノになってないくらいが丁度いい。
今更 好き好き言われても俺はそんな女の子すぐ飽きちゃうし、そもそも俺が好きにならない。」

確かこんな事を言ったと思う。いつも人には無意識に気を遣う僕が、精一杯 彼女に気を遣って言葉を選んだ。今さらダサいとかプライドとか勝ち負けとかじゃない。精一杯カッコは付けた。


「なにそれ、ホント面白いね。」
「マジで変わってるよ?女見る目無いと思う」


とか何とか彼女は笑いながら言っていた。
それを見て、そんな風に変わらないまま居てくれるならその他の難しい事はどうでもいいと思った。


「よし、じゃあ花火観に行こっか。」


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