アメリカの大学・院でUXデザインを学ぶ 1/2 (雰囲気、UX専攻とは)
僕は交換留学を通じてワシントン大学で1年間、修士課程を通じてテキサス大学オースティン校で2年間、UXデザインを専攻していました。卒業後はアメリカでUXリサーチャーとして働いています。今回はアメリカの大学や大学院でUXデザインを学ぶとはどういうことなのかについて書きます。僕より上の世代だと独学で学んだ方や近い分野からUXに移った方が中心で、専攻として大学で学んだ方はほぼいないのでみなさんの疑問を少しでも解消できたらと思います。海外でのUX専攻に興味ある方の助けになれたら幸いです。
すごく長くなってしまったので2つの記事に分けました。
今回:UXデザインプログラムの雰囲気やUX専攻の意義について ✋
次回:実際のカリキュラムや授業内容 👇
どちらかだけ読んでいただいても分かるように書いたので興味ある方から読んでいただいても大丈夫です!正直次回が本編です笑
0. UXデザインプログラムの雰囲気
実際のコンテンツに入る前に、授業やプロジェクトの雰囲気を表す写真を5枚ほど貼っておきます。
このように講義スタイルだけでなく、コラボレーションも多いのが特徴です。実際にフィールドワークで外に出かけてインタビューしたり観察したりすることもありました。写真にはありませんが、家でひたすらデザインやプログラミングをする時間ももちろんあります笑
1. UXデザイン専攻とは?
日本にはまだあまりありませんが、世界に目を向けるとUXデザインの専攻を持っている大学・大学院が多くあります。アメリカで有名な修士プログラムをいくつか紹介します。ランキングではなく、UXコミュニティーの中で「これらのプログラム出身の人が多いな〜」という印象です。UserTestingのブログに載っていたのでさらに気になる人はチェックしてみてください。
- 学校名: 専攻名
- Carnegie Mellon University: Human-Computer Interaction
- University of Washington: Human-Centered Design & Engineering ✋
- Georgia Tech: Human-Computer Interaction 🙏
- University of California Berkley: Information Management and Systems
- University of Maryland: Human-Computer Interaction 🙏
- University of Texas at Austin: Information Studies ✋
- University of Michigan: Information
- Indiana University Bloomington: Human-Computer Interaction
✋は実際に僕が学んでいたプログラム、🙏はお祈りされたプログラムです笑 志望度は、UXに関する授業の充実度、卒業生のキャリア、評判、学費、住みやすさを基に決めました。
上記のプログラムは純度高くUXデザインを学ぶことができます。お気づきの人もいるかと思いますが、Human-Computer Interaction系かInformation Science系の名前の専攻が多いです。ここでは触れていないですが、Design school, Business school, Computer scienceからもUXデザインを学ぶことが可能だったりします。UXは複合領域なので他分野からでも学べるという仕組みです。プロダクトマネジメントもできるUX人材になりたいならBusiness schoolから、開発もできるUX人材になりたいならComputer scienceから学ぶという選択肢も魅力的だと思います。UX分野の中でも特定領域で尖っていくことで、自分の市場価値を上げ自分のやりたいことに注力できるようになると思います。このトピックは今回の記事の本流ではないので以下のブログにバトンタッチします笑
University of Texas at Austin
University of Washington
2. UXを大学院で学ぶ必要はあるのか?
では、UXキャリアを歩んでいく上で海外大学院で1~2年費やす必要があるのかについて考えてみます。僕は結果的にアメリカのテック業界でUXリサーチャーとして働けているので来て正解だったと信じていますが、答えは人によるのかなと思います。以下でメリットとデメリットを箇条書きにしてみます。もしメリット>デメリットなのであれば海外でUXを学ぶのも一つの選択肢だと思います。オブラートに包まずに書くので気分を害した人がいましたらごめんなさい笑
メリット
- 新卒等でUXの知識があまりない人にとっては高いレベルの基盤を作ることができる。そして時間をかけてキャリア選択を行うことができる。
- UXをアカデミックな視点から学ぶことができる。
- 企業であまり使わないハイテク機器(アイトラッキング等)を使ったUXデザインを学ぶことができる。
- キャリア最初のUX職で比較的良い待遇で働くことができる。そして市場価値の高いUX人材になることができる。
- (国籍・永住権がない人にとっては) 修士号を取ることで海外で働くことができる。
- 英語力がつく。GoogleやIndeedの東京オフィスUXチームではコミュニケーションが英語なので、帰国後にこういった場所で評価される可能性も高くなる。
デメリット
- UXデザインの多くのスキルは実務を通して「使える」レベルになるのだと思います。ですが、学校にいると実務の機会を得にくいです。
- すでにGraphics designerやTechnical writerなど近い分野にいる人は大学院を経なくてもUXデザイナーやリサーチャーに転職できるかもしれません。そして働きながらUXを学んだ方が効率がいいのかもしれません。
- 時間と資金がかかります。上記のアメリカ院の学費は年に250~500万です。(奨学金などで安く済む可能性もあり) これを踏まえるとブートキャンプなどでより短期間で学ぶ方法もありだと感じます。
僕がパッと思いつく限りのメリット・デメリットはこんなとこです。また現状ではアメリカの方が日本よりもUXの導入は進んでいます。なのでアメリカでの経験は日本に帰国したあとも生きると思います。僕は将来、日本に帰国して、UX界を盛り上げられればと思っているのでみなさんよろしくお願いします🙌
今回は「アメリカの大学・院でUXデザインを学ぶ」の前半として、プログラムの雰囲気やUX専攻の意義について書いてきました。本編はパート2なのでもし良ければ次の記事も読んでください👇