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時の流れ止まれし世界 4

想鐘 虎鷹


或る朝、目覚めると、如何やら、金融体制支配のトポスにいた。

其処では、金額という数字が神の如く、君臨していた。

多額の数字が必要だと感じている者は、嫌嫌でも、辛い労働や仕事に勤しんでいた。

多くの者は容易く、多額の数字を得られる活動に就くことが、重要だと考え、其れを目指す。

たとえ、其れが、本当は多くの人人を苦しめるものだったとしても、大きな数字を得ると本人も周りも、其れに憧れ、甚だしきは、尊敬さえする。

ボン・サンスは何処にありや。

チェリーマンは訝る。

素の宇宙世界で、辛い労働だが、低い報酬しか得られぬ仕事を様様、体験して来た彼は、歪んだ人人を結構、見て来た。

会社では、窓際でも、下請けと言われる人たちを、言葉で痛ぶる人もいた。

「弱い者が夕暮れ、更に弱い者を叩く」

窓際だからこそ、と言った方がいいのかも。

部活をしていた時、彼らが最高學年となった時、先輩から、伝統的に続いて来た、意味の感じられぬ慰みとしか言えぬ、後輩への強制的行為は、自分たちはしない、と部長である同輩が言った時、満場一致で可決した事なども想い出した。

進學した學校で活躍していた多くの先輩の指導のお陰もあり、団体戦では優勝も出来た。

様様な成功と失敗を体験し、何を感じ、如何行動するかが、其の人の何者であるか、を語る。

だが、大きな謎というか、醍醐味は、成功と感じてた事が実は失敗だったり、失敗が成功と想える様になったりすること。

辛い労働を散散体験して来た彼は、もう、そんな事をしたくはない。

また、楽で多額を稼げても、人人を実は不幸にする事も嫌。

故、彼は他者と話をするのが好きなので、会う人、逢う人に、自分の感慨を語り、相手を理解する事を楽しんだ。

関係の構築には、想いや時間の積み重ねなども必要。

だが、話をして、彼に好意を持った者は、ひとり、ふたり、と食べ物などをくれる様になる。

長き時重ね、チェリーマンは反宇宙世界での金融体制支配のトポスの殆どに知られる事となり、彼がウィンクしたり、冗談を言ったり、また、何もしなくても、欲しいと感じた物品やサービスは相手から、喜んで貰える程の存在となる。

其れに感化され、人人はやがて、数字のやり取りに煩わしく感じる者が増えて行く。

お金がない人の方が、彼に感化され易く、お金がある人程、そんな事を認めまいとし、彼を憎む者も多数いた。

既得権益の喪失、つまり、お金の力で凡ゆるものを恣にし、他者を使役する生活に余りにも馴れていたが故。

お金の力で自身の夢や生活を快適にするのが、彼(女)らの生き方で、其れ故、数字を求め、其れこそが、人生であったから……

「想い出はいつも綺麗だけど、其れだけじゃお腹が空くわ」

さて、彼は此処のトポスで、何を求め、如何する、だろう──

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