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大沼だんご
大正のころ、
ひとりの俳人が
陸蒸気(蒸気機関車)にのって
大沼公園にやって来た。
晴れわたった空、
のびやかな駒ヶ岳に心をうばわれ、
湖面にうかぶ島々と紅葉に感嘆。
さらに、口にしただんごの美味しさに
びっくり、
句を詠んだ。
「花のみか紅葉にもこのダンゴ哉」。
明治から昭和の京の俳人、上田聴秋。
![](https://assets.st-note.com/img/1676420668396-ELSPXShkKu.jpg?width=1200)
1905(明治38)年、
大沼が道立公園(今は国定公園)となった。
陸蒸気にのっておとずれる観光客向けに、
大沼だんご🍡は駅ちかくで
茶店をいとなむ
初代・堀口亀吉があみだした。
この「沼の家」の元祖・大沼だんごは、
120年ちかくも親しまれ、
今は四代目・堀口慎哉も
昔ながらの製法を頑固に
守っている。
折箱は二つに仕切られ、
ひとつは大沼、
もうひとつは
小沼を表している。
![](https://assets.st-note.com/img/1676157582099-PKP92r5t9g.jpg?width=1200)
この一口サイズのだんごは、
沼にうかぶ小島に見立てられ、
味は、あんとしょうゆ、
ごまとしょうゆの二種。
あんとしょうゆを楊枝にさし
交互に口にすると、
つるりとした滑らかな食感もあって、
柿の種のごとく止まらなくなる。
これぞ美味しい組み合わせ。
しかも、作り置きせずに
出来立てだけを売り、
賞味期限は当日かぎり。
五代目となる息子は、東京で修業中。
一世紀をこえようと、
時代が変わろうとも、
味が変わらぬ大沼だんごの伝統を
頑固一徹に守ってほしい。
![](https://assets.st-note.com/img/1676157611199-HoXwlJyJFf.jpg?width=1200)
大沼牛のビフテキを味わったあと、
駅そばの「沼の家」で、
ここでしか売っていない
大沼だんごを手に
幸せになり、家路につく。
![](https://assets.st-note.com/img/1676157623966-G7bT6j6Uvo.jpg?width=1200)