パンツの洗濯
ミラノのホテル。
ホテルのクリーニングが
間に合わなかった。
洗ったパンツを
振りまわして水を切り、
ドライヤーで乾かすこと3、4分。
まだ生乾きのパンツをつけ
タクシーで空港に急いだ。
綿パンの尻にうっすらと
地図模様が浮かんでいる。
バッグで尻をかくし蟹の横歩きで、
ファッションの街から
水の都ヴェネツィアへ
機上の人となった。
旅の準備は、
パンツの枚数を先ず決める。
こまめに洗濯すれば、
数は少なくていい。
浴槽にぶちこみ足でふみ洗いする。
バスルームは、
いつも洗濯物で満艦飾となる。
うすく表面積が小さい女物は
乾きが速そうだが、
綿の男物は、
一夜明けても水をふくんで重たい。
せっせと洗濯していたが、
ちかごろはホテルの
ランドリーサービスをつかう。
一杯機嫌の夜、
洗濯するのはシンドイ。
ホテルをチェックインするたびに、
ランドリーサービスの注文書に記入する。
いままで泊ったホテルの
パンツ一枚の洗濯代は、
男・女物とも、ウィーン390円、ミラノ230円、
ダブリン220円、西安130円、札幌300円。
高いウィーンを別にすれば、
国際相場は300円以下だ。
パンツを中国語で内䋞と書く。
䋞は袴から派生した字でズボンの意。
䋞の中にはくから内䋞か。
さすが文字の国と感心しながら
西安のホテルで、
洗濯リストにパンツの数を書きこんだ。
ちなみに、
パンティーは男物と同じ内䋞、
ブラジャーは胸衣とあった。