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北京の秘境
1996年秋、誘われて中国へ旅立った。
最も行きたかったのは、「中南海」。
二つの湖をかかえた
広大な中南海こそ、
北京のど真中の秘境といわれ、
朱色の高い城壁で囲まれている。
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中国共産党中央と国務院(首相府)がおかれ、
かつては毛沢 東、周恩来といった最高首脳の執務室と住居があった。
いまも主席、首相などが住み、
一級の賓客だけが招かれる。
ニクソン、田中角栄もここで毛沢東と差しで会い、
歴史的和解を実現した。
側近によれば、毛沢東は、
ニクソンより田中角栄に好意と高い評価を与えたとか。
![](https://assets.st-note.com/img/1673988710906-Tc2HLEG5Rc.jpg?width=1200)
また、共産中国誕生から激しい政争の舞台となったここで、
張春橋、江青ら
文化大革命四人組の逮捕劇もあった。
部下に逮捕通告された江青は、
「お前もか!」と
カエサルのごとく叫んだという。
夜もふけるころ、中南海を
ぐるりとタクシーでまわった。
途中、停めてくれと言ったがフルスピードのまま。
四ヵ所ある門は、兵士が立ち巌重警戒、
中南海のまわりは、
全て駐停車禁止であった。
![](https://assets.st-note.com/img/1673988733034-2yidJ6Pm0e.jpg?width=1200)
建国を成しとげた
「現代の皇帝」毛沢東のあと、
黒猫白猫の鄧小平、実務家の江沢民……
14億の民をすべる独裁者の行方、
こはいかに?—新たな毛沢東があらわれるのか。
共産党一党独裁がつづくかぎり、
特権的な中南海は、
厚いベールを脱ぐことはないだろう。