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港町・函館 今と昔

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天然の良港をいだく函館。 高田屋嘉兵衛の千石船が出入りし、ペリー提督が水と薪をもとめて開港をせまり、戊辰戦争では榎本武揚の艦隊が官軍と交戦するなど歴史を刻んできた。 開港160年…
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坊っちゃん

「西野君、立ってください」  いきなり先生に名前を呼ばれ バネがはじかれたごとく直立不動 「漢詩の出だしを読んでごらん」    ハイ! と元気に返事するも  あとが続かない  頭に血がのぼって   たった今  教わった読み方が吹っとんだのだ 函館中部高校(函中)に入学早々 漢文の授業で立ち往生したありさまは 60年あまり経った今でも生々しく覚えている おやじにさっそく この一件を話すと そくざに 「俺もおそわった板垣先生で あだ名はジャクだよ」 と 漢文を読むとき 返

函館朝市

第二次大戦が終わり食糧難のころ、 近郊の農家のひとが函館駅前、青函連絡船桟橋のそばで、 野菜を立売りして始まった朝市。 はじめはヤミ市。 魚屋、さらに青森から連絡船でかよう米のかつぎやも現われ 市民の台所となり、やがてメロン、カニも商って観光客が加わった。 朝早く収穫した新鮮な野菜を地べたで売る風情は、朝市そのもの。 男爵いもを茹でるたびに、 白い手ぬぐいで頬かぶりしたお爺ちゃんが売ってくれた、 美味かったじゃがいもを思い出す。   今、朝市には、250軒ほどのお店が軒