見出し画像

【世界を相手に生きる】グローバル社会を生き抜くために必要なこと

12月9日は私の誕生日!そんな今日、思うことはこの歳になるまで比較的好き勝手に楽しく生活できていることへの感謝でしょう。家族や仲間、そして既に他界した両親や先祖にも日々支えられているのを感じます。そして5年ほど前に独立した時の想い。起業した際に一番苦労したのは実はビジネスの立ち上げよりも、ビザの取得でした。それまでは企業の肩書でE2というビザ(別名「投資家ビザ」)を持っていましたが、これが退職によって失われるので独力で米国の就労ビザを取得しなくてはならない。米国で就労ビザを取得したプロセスを振り返るとグローバル社会を生き抜くのに必要な要素の整理にもなりそうで、今日はそんなことについて書いてみます。

世界を相手に自分の独創性を立証しておく

米国の就労ビザには様々な種別があり、それぞれに適用範囲や特性、取得難易度が異なります。私が取得したのはO1ビザ。別名「スペシャリストビザ」もしくは「アーティストビザ」。一芸(一発芸ではありません、笑)に秀でた何か、特殊で高度な技術や専門性を持つ場合、それを米国移民局(USCIS)に対し実証することができれば最も速く取得できるビザです。この「高度な専門性の実証」というのがカギ。その人物が米国で仕事をすると米国にとってどのような国益が齎されるかを示せればビザが下りる。

移民弁護士と相談し、幾つかのエビデンスを準備しましたが、有効だった一つが日本人らしさの表れた賞受賞歴。日本刀や手裏剣をモチーフにした未来のモバイルコンセプトデザインで単独受賞した賞などは一目で伝わり説明が要りませんでした。知人の知人でビザ取得に苦労していた和太鼓奏者も、参加していたバンドがグラミー賞を受賞して呆気なく取得!。賞以外でも研究者なら著名な専門誌に載った論文などでも良いでしょう。いずれにせよ個性や民族性を背景に世界を相手に自分の独創性を立証しておくことは海外生活の様々な局面で最強の武器(動かぬ証拠)となります。

世界中に散らばった心で繋がる仲間たち

もう一つ有効だったエビデンスはTestimonial Lettersと呼ばれる推薦状。業界の権威や有識者、専門家、研究者、デザイナーにこれまでの活動や実績、専門能力の高さや人格、人物像について手紙に認めてもらい、太鼓判を押してもらうことで「高度な専門性の実証」に強力で有効な援護射撃になる。私の場合は企業で海外を担当した時期も長く、仕事/プライベートの両面で南北アメリカ、北欧を含めた欧州からアジア、中東など世界中を旅する機会が多くあり、そこで出会ったクリエイター達とは今でも懇意にしています。

未来志向のデザインの仕事を通じ、気が付けばごく自然に多くの「遊び心で繋がる仲間」が世界の至る所に散らばっていた。そんな彼らに久しぶりに連絡を取り、推薦状の依頼をすると皆二つ返事で快諾してくれた。言わば世界中に自分の分身が居る様。現代のように地球が狭く感じられるほど世界と繋がって居られる環境なら実際に旅しなくとも実現できるかもしれません。また世界に散らばる視点が自分の知見や見識を常に更新する意味からも現代社会では替え難い価値があると思います。

キャラクターに合った独自の表現力

これらの作業と並行して自分の会社の登記作業を進めていきます。米国で起業するのは比較的ハードルが低く、資本金などの制約条件も厳しくない上に、起業するためのプラットフォームも豊富にあります。どういう業態で何を価値創造、提供することでどれほどの収益を上げる見通しが立つのか、これらを整理しながら登記していきますが、自分の能力を自己評価し他者に適切に説明することは意外と難しい。ビザ取得の最後の段階に面談もありますから、ここでも自分の価値を説明することが求められる。

日本人は概して謙虚。控え目な日本人はアピールの強い米国人の中では見劣りしてしまうことも少なくない。MBA保持者のように声を張り自信に溢れたプレゼンは私にも出来ませんから自分だけの表現を探る。例えば、努めて然り気無く凄い事をユーモアを交えて言う。”日米の事業に精通した自分を米国が失ったら莫大な経済損失になる”とか…コイツ本気で言ってんのか?みたいな(笑)。私の交渉事では相手からSmileを引き出した方が勝ち。理解させるより魅了する。自分の能力と実績と個性に合った独自の表現力もまたグローバルな環境では重宝します。

タフで情熱的なプロたちとの信頼関係

そして、最も助けられたのはやはり移民弁護士チーム。いつも私達を支援してくれている弁護士チームはニューヨークのブルックリンにある弁護士事務所の全員女性のチーム。ビザ取得のプロセス、特にUSCISとのやり取りは極めてタフ!何度か必ず来るであろうRequest for Evidence(立証材料の追加提出要請)に適切に対処することでプロセスを前に推し進めていく。私達の場合、E2ビザの期限が切れる6月末に米国を離れ、子供たちの学校の新学期が始まる8月初旬までに新たなビザを取得しなければならなかった。

たった1か月半でビザを取得する荒業!これを可能にしたのは彼女たちのタフで情熱的なプロフェッショナリズムのお陰だったと思います。彼女たちの多くはお子さんもまだ小さく、育児を熟しながらタフな仕事に当たる。我々とは育児の苦労や移民ならではの苦難も日々共有できる。単なる依頼者や顧客という立場を超えて心情や共感で繋がっている人間同士の心底からの信頼関係は想像を超えた創造力を発揮していくし、それはどんな不可能をも可能にしていける。実は、彼女たちとは今「二度目の奇跡」を起こそうと新たなチャレンジに取り組み中!成功した暁にはまたご報告したいと思います。

いいなと思ったら応援しよう!