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【旅するデザイン思考】今という時代を生き抜くための4つの努力

様々な側面を持つ現代社会。爆速で進化し加速する技術、際限なく高まる生活の利便性、一方で予測不可能な災害や想像を超えた現実に遭遇するような日々など。良くも悪くも途轍もなくエキサイティングな時代とも言えます。そんな時代に自分自身は家族と米国で独立して生きているというのも何やら因果なものを感じます。最近実践しているワークショップで感じたことや日常生活を客観視する中で思うことを通じ、この時代に生きる上で怠ることのできない何かに気付かされます。今日はそんな今を生きる上で必要な努力について書いてみます。

生活環境に依存する“スケール感”を拡げる努力

これまで米国現地や日本の海外留学生対象のワークショップを実践していて強烈に感じることは人の価価値観やスケール感がそれぞれの人の生活環境に大きく依存しているということ。そんなことは常日頃、十分理解しているつもりでしたが、実施する度に自分の理解を超えてそれが伝わってくる。最近実施した、たった2時間のワークショップで米国の学生たちが提案したのは超長距離(Nation to Nation)、長距離(State to State)、中距離(Last1mile)のフードロジスティクスを再利用可能なロケットやHyperloop、EV & Droneにそれぞれ置き換えることで超高速化し、現在のビジネスをオセロの様にひっくり返しながら地球規模でフードビジネスを寡占化していく戦略でした。

シリコンバレーに住んでいると、この感覚は良く分かる。しかし、例えば東京に住んでいたとして、こんなスケールの提案が自分事として発想できるか?いわゆるGAFAM企業がこの十数年でほぼ世界を掌握するに至った経過を”至近距離で”見ていなければ発想することも、それを模倣し、さらに凌駕しようとすることも無いでしょう。それほどまでに環境は人の価値観や想像力に影響を与えるものだと思います。小さく閉じた、静止した環境にジッとしていればスケール感や想像力はどんどん萎んでいくし、他方で発展を極めるダイナミズムとの格差はさらに拡大してしまうでしょう。どんな状況であっても生活環境(脳内環境は少なくとも)を自ら小さくスタティックに閉じたモノにしない努力はこの時代に極めて重要だと感じます。

自分の価値観に埋没しない努力

また私自身、ワークショップの指導者やコンサルタントの立場を執ることが多いので、常日頃自分の価値観を意識的に拡げるよう努めているつもりですが、それでもやはり日々自分の価値観は放っておくと自分の嗜好性や世代観に閉じてしまいがちだと痛感します。これも最近実施したワークショップで、あるチームは自分の代わりにInfluencerに旅をして貰い、いわゆるMetaverseのMixed Realityで共有するトラベルシェアサービスを提案してくれました。これは高齢者や、健康状態など諸事情から自身では旅に出られない人には重宝されるでしょう。

このテーマは元々私が差し向けたテーマでしたが、実際のところは私自身も正直、何処かMetaverseに懐疑的だったり、若い頃Backpackerも経験した自分は「何だカンだ言ったって旅行はリアルに移動したり現地に行ってナンボ」と思い込んでいた節があります。小さい頃からYouTUBEやTikTokに親しむ今の真っただ中を生きる若い世代の価値観では既にYoutuberやInfluencerの発信を共有するだけで十分に現実感や共感を得ている。こんな強烈な時代観を背景にした価値観変化をさえ乗り越え、自分の思考と感覚を跳躍させる努力。毎朝鏡を見るように、自分が自分自身の価値観に埋没していないかチェックするようなルーティンは必要かもしれません。

“閉じたオトナ”にならないための努力

このように私の実践するワークショップを通じて私自身が得る気付きも多く、それによって私も私自身を“閉じずに”常に解放しておくことが出来ます。ところで最近話題になっている量子力学。特に2重スリット実験で示される「光が併せ持つ“粒子”と“波”の両方の性質」の話を、私個人はあまり不思議と思いません。寧ろ、意識と無意識、或いは陽と陰や、閉じた状態と開いた状態の様に、ごく自然な表裏一体の関係だと感じます。言わば交感神経と副交感神経。人間は常にその間を極自然と行き来しながら生きている。そして現下のパンデミックの様に、今や現実離れしたような現実が顕在化している世の中に於いては”後者の要素”が必要とされる場面が多いのではないかと思います。

私が行うリーダーシップのワークショップで「如何に他人をリラックスさせるか」を実践するワークがあります。かつてリーダー像は比類ない厳格さで周囲に緊張を強いることで統率するのがスタンダードの時代もありましたが、今は違う。特にネットワークや繋がり、相互の関係性が重要視される時代に求められるリーダーシップには“リラックス”することが重要と確信します。強張って緊張した面持ちの人より温和で優しい表情の人の方が話し掛け易いように、自分がリラックスしている人は周囲もリラックスさせる。そして緊張を解きほぐすことで想像力と創造力を解放する。心を閉ざしたオトナは周囲に負の影響を与える。また閉ざしたつもりのドアほど破られ易く、寧ろフルオープンの方が周囲からの攻撃にも実は強かったりします。幾つになっても自分を客観視しながら、自分の中に閉じないオトナ、常に広く開かれたオープンな自分をキープしたいものです。

「旅するように生きる」を続ける努力

結論、上記に記した3つの努力を効果的に行うためにも旅するように生きることは有効だと思います。最近はリモート環境も整備され自宅に居る時間も長い。また強制隔離やら水際対策やらで国際間の行き来のしずらい状況も続いていますが、それでも、無理やりにでも動かなくてはならないと思います。人間は元来、怠惰な生き物ですから、楽な場所に安住すればそこから動かなくなり、それによって筋肉(肉体的にも精神的にも)は衰え、いつの間にか身体自体が動かなくなってしまう。その点、旅はハプニングの連続!まして少々治安の悪い旅先なら野生的な危機感覚や突発事態への順応性も鍛えられます。

自らを常に旅に誘い、動かし、環境を変え続けることで新たな場所や人と出会い、肉体と精神の筋質や柔軟性を良好に保ち、状況変化に即応できる順応性を高め、どんな事態に巻き込まれてもそれをエレガントに楽しめるほどの余裕やスケール感を最大限に拡げておくこと。これは今の時代を生き抜く上で最も重要なことだと思います。私と我々家族の“旅するように生きる“人生は今後、さらなる創造的な波乱を求め、突き進んでいきますー!


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