家族と私と、たまにWi-Fi
私の家に、昔は「家族」っていうカテゴリがあったんだけど、最近じゃあんまり使われてない言葉になってきた気がする。娘は就職を機にさっさと家を出ていった。「家よりも、会社の休憩室の方が落ち着く」とか言い出すんじゃないかって思うくらい。LINEも未読スルーが基本だ。たまぁ~に送られてくるスタンプが、娘との絆かな。
もっとも娘にゃ彼氏がいるんだから、それも当然か。
一方、息子はというと、まだ家にいる。でも、これまた微妙に謎の存在になりつつある。彼の部屋はまるで異次元空間みたいで、こっちの世界とは時差があるらしい。朝も昼も関係なく、ドアは基本閉じっぱなしで、出てくるのは深夜。トイレに行くために出てくるのを目撃するのは、まるで野生動物のドキュメンタリーを見てる気分だ。
「うおっと…まだこの家に住んでたんだな、俺の息子」と思う瞬間も多々あり。まあ、顔を見ると嬉しいんだけど、ほとんど会話はない。「おはよう」と言えば「うん」。こちらも「今日も仕事か?」って聞いても「うん」。返事のバリエーションが少なすぎて、AIチャットボットと会話してるんじゃないかって疑うこともある。
で、肝心の妻。これがまた、我が家最大のミステリー。言ってみれば「ウォーリーを探せ!」レベルだ。リビングで遭遇することはほぼ食事ん時ぐらい、話しかけるタイミングも難しい。結婚して何年も経つけど、最近じゃ「あなた、名前なんだっけ?」なんて思っちゃうくらいの没交渉ぶり。もしかして、リビングで映画でも見ながら会話するなんて夢は、昭和で終わったのか?
がしかぁ~し、ふと気づくと、妙に快適じゃね?この生活。「寂しくないか?」って聞かれたら、うーん…正直なところ、「そうでもない」。なんだろう、もう慣れちゃったのかもしれない。しかも、Wi-Fiのパスワードさえ共有されてれば、特に問題はない。これが今の家族の絆なんだろね。
まあ、こんな感じで今日も日常が過ぎていくわけだけど、これでいいのかもしれない。人生、そんなに深く考えなくても、Wi-Fiが繋がってればなんとかなる。やれやれ。
てな感じで日々感じたことを書いてみた。
【注】フィクションとノンフィクションが入り混じってます。
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