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マーケティングはこれだけ! その2: バリュープロポジションを組み立てる
こんにちは、いつもお読みいただきありがとうございます!
前回は価値についてお話ししましたが、今回はバリュープロポジションについてです!
前回はこちら↓
これがマーケティングする上で最も大事な考え方だと思います。これがきちんと定まらないと4P戦略(Product/Place/Promotion/Place)についてもあやふやとなってしまい、そうなると、どんなに営業しても想定通りの売上や利益確保が厳しくなっていってしまいます!
多くのマーケティング本でも紹介される基本のキではありますが、このNoteでは例などを踏まえてなぜそれほどまでに重要なのか、どうやってビジネスで活かすのかという点についてもお話していきます。
結論、バリュープロポジションとは、
「顧客が望んでいて、他社には出来ないけど、当社ができる価値」
ということになります。
顧客 Customer
他社 Competitor
自社 Company
いわゆる3Cの分析によるものになります。3Cについてはまた別のNoteで詳しくまとめますね。
簡単に言えば競合状況も踏まえて、自社製品が売れる最も強力な理由は何か?
ということになります。
これが会社のなかで誰にとっても腹落ちさせて、社員全員がそのバリューを意識して活動できるようになるとすごく強い組織になります!
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バリュープロポジションを明確するためには、「 誰に対して、どのような商品・サービスを、どのような理由で提供するのか」を定めていくことが必要になります。
マーケティング用語としてはSTPと言い、セグメンテーション、ターゲッティング、ポジショニングを実施することになります。
ひとつ事例を挙げますと、理美容業界では、1000円カットが定着しどこでも見かけるようになりましたが、これも明確なバリュープロポジションによって成功したものだと思います。
顧客が望んでいて、他社(従来の理美容室)には出来ないけど、1000円カットのお店だからできる価値を提供しているということになります。
これまで男性であれば理容室へ行きカットのみで3000円以上掛けて髭剃り、肩揉み、シャンプー、ブロー、セットまで行なってもらっていた方が多かったのですが、お客さんのなかには、ただ素早くカットだけしてもらえれば良いし、それほどクオリティも求めないので値段は安い方が良いという価値観を持つ人もいますよね。
そこに特化した店舗展開をしたのが1000円カットです。
では、理美容室が1000円カットと同じことができないのかというと物理的には可能ですが、経営的には難しいところです。なぜなら、コストモデルが違うからです。1000円カットではシャンプー台を設置する必要がないため、そのコストおよび床面積を削減しているので、固定費が安いです。
また、1000円カットで提供するサービスはカットのみ、パーマや髪染めの顧客は来ませんので、技術を持つスタッフを雇う必要もなく、パーマ液などの材料調達も不要になるため変動費は低く抑えられます。
顧客セグメンテーショを行い、ターゲッティングで顧客層を絞り、そのニーズを満たす最低限のコストで構成し理美容室とは異なるポジショニングを行なっているのが1000円カットのビジネスモデルなのです。
図のように、既存サービスにはない部分で徹底的に尖った部分を強調したことにより、その価値を認める特定セグメントの顧客にとって、自社にとって双方の価値を見出すことが出来るという事例となります。
既存に存在するビジネスから他社と異なるビジネスキャンバスを描くことができるかどうかも、バリュープロポジションを決定していく上で有効な羅針盤になります。
<理容室と1000円カットの戦略キャンパス>
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但し、ひとつ注意があります。顧客の言うことを聞き始めてしまうとせっかくの尖ったバリュープロポジションが崩れてしまいます。
1000円カットのお店で、ある顧客は髭を剃ってほしい、他の顧客は白髪染めをしてほしいなどサービスを追加し始めると、経費が掛かり収益を圧迫させてしまいます。コストに耐えきれなければカットの金額を少し値上げすることになります。
そうなると、顧客視点において、理容室との差が見えづらく、何が売りなのかというバリューが伝わりにくくなり、集客にも悪い影響が出てきます。
これを『ピンクの車』現象と呼んでいます。
赤い車が欲しい人、白い車が欲しい人、両方をターゲットにしてピンクの車を販売しても売れませんよね。誰にでも丁度良い「One Fits All」という戦略もありますが、何でもエサを撒けば喰いつく状況ではない成熟市場において、また、ブランド力のない新規参入事業では、尖ったバリュープロポジションが必要になってきているというのが昨今の日本市場だと考えています。
実務で使うための問いかけ
『あなたの事業で顧客が望んでいて、他社にはできない(弱い)けど、当社ができる(強い)価値とは何ですか?』
『顧客とはどのような顧客層が対象になっていますか?十分なビジネスサイズになる市場ですか?』
マーケティングプランでは最初から答えが簡単に出てくるものではありませんので、何度も検討を重ねて自社のバリュープロポジションを確認していきましょう。
次回は、バリュープロポジションを決めていくプロセスについても深堀していきたいと思います。
お読みいただきありがとうございました!