コミュニティについて考える
最近、コミュニティについて考えるきっかけがあった。僕はNPO法人として岩手県からファブテラスいわてというものづくり施設の受託運営を行っている。そこでファブテラスいわてがやっていることは、3Dプリンタなどの無料の機材の貸し出しである。あくまで貸し出しなので例えば、3Dプリンタの造形がうまくいかないだとか、レーザー加工がうまくいかないなんていうのは、アドバイスはすれどこちらで代わりにやってあげるということはしない(スタッフの裁量によるが)。3Dプリンタは一度造形に失敗してしまうとあとは虚無が排出されるだけであるが、印刷に時間がかかるので一旦帰ってから完成見込み時間に取りに来て虚無があるとがっかりされる方が多い。個人的にはそれもメイカー活動において勉強の一つだと思っているので、アドバイスはすれど、あくまで機材を貸し出しているだけという感覚であった(多少申し訳なさはある)。
そんな中、スタッフよりも熟練度の高い利用者の方々も実は存在する。たまに作品を寄贈頂いたりもする。その方々は他の利用者の方々といっぱい交流するなど場を良い雰囲気にしてくれる。そこで最近少し感じたのがファブテラスいわてって実は岩手のものづくりコミュニティの中心地、いわばムスリムでいうところのメッカ、天理で言うところのおかえりなさいなのではないかと言うこと。
実は2020年の12月にいわてメイカー展と言うイベントを開催した。多くの出展者にご出展いただき、その中で出展者同志で新たに交流や繋がりが生まれたようだ。(Twitterを散見している限り)
上記を踏まえるといわてメイカー展はキリスト教で言うところのクリスマス、神道で言うところの初詣に近い存在かなと思ったり。
結局僕がやってることってコミュニティづくりに繋がってるのかなとか最近思った。過去には、岩手県内のファブラボは各地域離れたところに点々とあるので各所の良さや設備を生かしたネットワークを作りたいと言うお話も何度か頂いた。しかし僕自身はコミュニティなどはあまり好まず、一人黙々とやってて楽しいタイプだったので、あまり深く考えず運営してきたつもりだった。でもよく考えてみれば、友達つくるために友達になりましょう!なんて言う人ほとんどいないし、コミュニティってそう簡単に作れるものではないけど、いつの間にかできてるものなのかなと思ったりした。
僕が高校時代にやっていたロボカップというロボットサッカー競技では、黙々とロボットを作って進捗を産んで、完成してはTwitterにアップを繰り返していた。そうするとロボカッパーのツイッタラーがいいねをしてくれるもんだから、1年に一回しかない大会のなかでモチベをキープして楽しく作り続けられた。年に一回あるジャパンオープンと言う全国大会では、知らない人とは名刺交換をしたり、知ってる人やTwitterで知ってる人とはワイワイしたり、ロボットを通した交流、いわゆるロボカッパーオフ会をしたりしていた。ロボットの中には爆速で制御を完璧にしてるロボットや、カーブシュートを打ってくるロボット、そもそも扇風機をつけてボールにすら触れずにシュートするロボットまであってめちゃくちゃ楽しかった。これがコミュニティなのだとするとコミュニティっていいもんだなと思う。
ファブテラスいわてでそう言う場を目指すのって、岩手県の施設と言うのもあって、かなり難しいような気もするのだけど、もっと気楽に、用事がなくても来たくなるような場所にできないだろうか。礼拝する乗りで。行政の事業ってどこもそうなのだけど、おかたくなりがちだからいい意味でそう言う雰囲気を微塵も感じさせないような場所にしたい。
ついさっき、高校時代から今は所属は違うけどずっと一緒にロボットを作っている仲間(その人たちもラボや施設の運営を任されている)とディスコードというアプリでトークしていた。その某ラボではものづくりや新たなことにチャレンジする場としてのラボを運営しているが、学生生活の負担軽減も一緒にできたらい良いなと言うことで、バイトとして仕事もしてもらっている。ただ今年はコロナの関係もあり、前者が目的で運営しているはずなのに、後者が目的で入ってきた学生もおり、どうしたもんかなーとなっているらしい。
ファブテラスいわての運営において言えば、NPO法人IRCプロジェクト自体は成り行きで僕が設立した団体で、メンバーが岩手県立大学の学生しかいないのだが、その全員がこのファブテラスの場を通じて何か人生が豊かになる学びを得たいと考えている人がいるかと言われれば、全然そんなことないと思う。そんな状態でコミュニティは形成できるだろうか。
だからメンバーからまずは意識を変えていくべきなんじゃないか。別にやりたいことはなんでもいいのだけれど、自分がこれを好きって言えるものに対して、それにチャレンジできる環境がここにはあるんだから、ただ金をもらって言われた仕事だけするなんて勿体無い。ここでいうやりたいことって別にクリエイター活動だけを指してるわけではなくて、如何に業務を効率化するかとかどうやったら利用者が増えるか、とかそう言う話。言われたことをちゃんとこなすのも大事だがそれなら言うて誰でもいいし、時給は公表しないけど人はすぐに集まる。水族館でやたらイルカと仲の良いトレーナーの方がいるけど、多分その人たちは動物が好きで真摯に向き合っているからこそできることだと思っている。そしてそこには観客が沢山集まってくる。
そうやってメンバー自身が目標をもってやってれば自然と人が集まってもっと大きなコミュニティになるんじゃないかと思う。なんかスゲー物作ってるスタッフがいれば相談したり話を聞きたくなるお客様が増えるでしょ。機材にフォーカスを当てるのではなく人にフォーカスを当てる。そんな感じに色々やっていきたいなーと思っている。
でもなんだかんだ、さすが学生パワーで色々面白いことやってくれるねとは言われるので、その部分は今後も引き継いでいきたい。僕自身はあまり学生という言葉は好きじゃないのだけど(僕だからこそできたんだ!と言いたいところ)だけど大人の言葉は素直に受け止めたいと思う。
最後に。よく色んな人に色々やってるねとか言われるけど僕がやってるのは実はロボット関連だけ。僕の右腕には経理のプロがいるし、他にも超優秀な人がたくさんいる。そんな人たちに支えられてるからこそ、いろいろやってるように見えるだけ。今後は、もっとその人たちにもフォーカスをあてて、僕一人がなんかやってる感から、ファブテラスいわてにいる人全員にそれぞれがなんかやってる感を出してもらって、全体としてのコミュニティ形成に一役買ってもらいたい。
追伸 今日、人生で初めてMacBookAir M1を手にしたので慣れるためにこんな長ったらしい文章を書いてみた次第。MacBookAir、デザインかっこいいし、仕事してる感がでて最高だね!