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島根県|公立高校入試確率問題2024

 図のようにA,B,Cと書かれた3枚のカードがある。太郎さんと花子さんは,次のルールでゲームをくり返して行うことにした。

ルール
・花子さんは,異なる3つの自然数を決めて,小さい方から順にA,B,Cのカードに書く。
・花子さんは,3枚のカードをよく混ぜ,太郎さんに1枚ひいてもらう。
・ひいた1枚のカードに書かれた数の2乗した数を,太郎さんの得点とする。
・残った2枚のカードに書かれた2つの数の積を,花子さんの得点とする。
・太郎さんと花子さんの得点を比べ,大きい方を勝ちとする。ただし,得点が同じときは引き分けとする。

 太郎さんのカードのひき方は同様に確からしいものとする。次の1~3に答えなさい。

1 太郎さんが3枚のカードから1枚ひくとき,Aのカードをひく確率を求めなさい。
2 次の(1),(2)に答えなさい。
(1) カードに書かれた数が,Aは1,Bは2,Cは3のとき,太郎さんが勝つ確率を求めなさい。
(2) カードに書かれた数が,Aは1,Bは2,Cは4のとき,花子さんが勝つ確率を求めなさい。
3 太郎さんが勝つことの起こりやすさと,花子さんが勝つことの起こりやすさとが同じになるような,カードに書かれた3つの自然数の組を1組答えなさい。ただし,2の問題文中に出てきた数の組(1,2,3),(1,2,4)以外の組を答えること。

分類:融合A3 因数分解・2次方程式 

1は確率の超基本問題

 A,B,Cに何の数字が書いてあろうが、太郎さんが起こす偶然は、[Aのカードをひく]か、[Bのカードをひく]か、[Cのカードをひく]かの3通りしかありません。そのうち[Aのカードをひく]が起こる確率ですので、求める確率は$${\dfrac{1}{3}}$$。

2は,それぞれの状態について

 まず、(1)を考えてみます。カードの書いてある数は

です。でも、起こることがらは引き続き、[A(1)のカードをひく]か、[B(2)のカードをひく]か、[C(3)のカードをひく]の3通りしかありません。それぞれの場合の点数をまとめてみます。

 太郎さんが勝つのは2通りですからその確率は$${\dfrac{2}{3}}$$

 続いて、(2)を考えます。

 同様に,それぞれの場合について点数を計算してみます。,

(1)の状態と違って、Bのカードをひいたら同じ点数になるので引き分けになります。花子さんが勝つ確率は$${\dfrac{1}{3}}$$。

(2)は3の前振りだった!

 この問題のポイントは,太郎がAをひいたら必ず花子が勝ち,Cをひいたら必ず太郎が勝つ,ということです。(※下に補足あり)
 だったら、この二人が勝つ確率が同じになるのは?  そう、残りのBをひいた場合はどちらも勝たない、つまりひきわけになるとき、ということです。上の問題の(2)が前振りになっていますね。
 というわけで、Bをひいたときに引き分ける条件を見つけることにしましょう。
 A・B・Cのカードに書いてある数をそれぞれ$${a,b,c}$$としましょう。

 このとき得点が同点になる条件とは、つまり
$${b^2=ac}$$
になるように$${a,b,c}$$を1組見つければよいのです。ただし問題文に書かれているように(1,2,4)はもう使えません。
 自力でどう見つけましょう? $${b}$$は$${a}$$よりも大きい自然数ですから2以上ということになりますね。そして$${b=2}$$のときの$${(a,b,c)}$$の自然数の組は(1,2,4)しかありません。
 では$${b=3}$$のときは? (1,3,9)の1組です。1組書けばよいのでこれを書いてしまえば,解答は終わりです。
 ちなみに$${b=4}$$のときは(1,4,16)と(2,4,8)の2組がありますし,$${b=6}$$のときは(1,6,36)(2,6,18)(3,6,12)(4,6,9)の4組が見つかります。このあたりから1つ条件に合うものをあげればよいわけです。
 おれはすげーできますアピールのために(637,1001,1573)とか答えてももちろん○ですが,まあ,無駄な努力はしないでおきましょう。

補足

 みなさんの中には「太郎がAをひいたら必ず花子が勝ち,Cをひいたら必ず太郎が勝つ」って本当? と思っている人がいると思います。このことを中学数学で説明するのは(不等式の性質を習っていないので)直感に頼るしかないかな?
 問題文の条件から$${0 < a < b < c}$$なので,$${a < b ⇒ ac < bc}$$,$${a < c  ⇒  a^2 < ac}$$となり,$${a^2 < ac < bc}$$で、太郎がAをひいたらいつも花子の勝ち,というわけです。
 同じように$${a < c ⇒ ab < bc}$$,$${b < c ⇒ bc < c^2}$$となり,$${ab < bc < c^2}$$となって、太郎がCをひいたら必ず太郎が勝ち、となります。

1 $${\bm{\dfrac{1}{3}}}$$
2 (1) $${\bm{\dfrac{2}{3}}}$$  (2) $${\bm{\dfrac{1}{3}}}$$
3 (1,3,9)(2,4,8)など

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