神奈川県|公立高校入試統計問題2024
(i)統計グラフ 数からみるか形からみるか
統計のグラフは,数字に頼らなくても,全体の散らばり具合,つまり分布を見る道具です。ここではまず数字に頼らずに形から散らばり具合を判断して,後で数字で確かめる,ということをしてみましょう。
まず,わかりやすそうな最大値・最小値は,どの中学校も同じ階級に属していますので,決め手にはなりません。
次に,ヒストグラムの形,分布の偏りに着目してみましょう。C中学校はほかに比べて左にゆがんだ分布になっていることがヒストグラムからわかります。これを箱ひげ図で反映しているのはX~ZのうちYと考えることができます。第3四分位数(箱の右端)から最大値(右のひげの右端)までがが長いからです。
次にAとBの違い,XとZの違いです。箱ひげ図で見ると中央値がなんとなく違う,箱の長さもなんとなく違う感じがします。中央値を見ると,データの小さい方の分布は,B中学校とC中学校で似ています。B中学校はXかな,と見当をつけておきます。またA中学校のヒストグラムは山がはっきりしていますが,B中学校はぼんやりしています。A中学校は箱が短いのでZかな,と見当をつけることができます。
選択問題なので,実際の入試問題を解く場面で時間のかけ方としてはこのぐらいで答えにしてしまって,後で時間があれば数字で確かめる,ぐらいのことをすればいいのでは,と思います。
問題2
1番目の選択肢は,通学時間が30分以上の生徒の人数(度数)を実際にヒストグラムから計算しておきましょう。(今後考えやすくするため,ほかの階級の度数も書き加えてあります。)
人数で比べるとB中学校が最も多いですので,この選択肢は正しくありません。
2番目は割合です。調べた生徒数がA中学校・B中学校(50人)とC中学校(60人)では異なることに注意します。
それぞれ割合を求めてみましょう。
A中学校 5÷50=0.1
B中学校 7÷50=0.14
C中学校 9÷60=0.15
微妙ですが,割合を比べるとC中学校が最も大きいですので,正しくない。(人数で比べてもC中学校が最も多いですので,ひっかけ問題というわけでもなさそうです)
3番目も割合です。
A中学校・B中学校 10÷50=0.2
C中学校 12÷60=0.2
割合は等しいですから,この選択肢は正しいです。
4番目は平均値。
やはり「形からみるか数からみるか」です。試験問題ですから,早く答えにたどり着く方がよいです。形から判断する方法をお伝えしましょう。25分のところに次のように「てんびん」の「支点」を置いてみます。そう,支点・力点・作用点の支点です。
A中学校とC中学校のグラフは左側にガクンとなりそうですね。釣り合う点,つまり平均値は25分未満のところにありそうです。
判断に迷うのはB中学校ですが,小学校のときの「てんびん」の学習から,支点から遠くにある方がてんびんは傾くのでしたね。(高校物理でいうトルクというやつです)
というわけで,たぶんそう,というところで正しい,ということにして,時間があったらこれも数で確認してみることにしましょう。
時間があったらの確かめ。
というわけで,全問解き終わった後,時間があったとしましょう。(i)と(ii)の4を数を計算して確かめてみることにします。
(i)
A中学校とB中学校は50人,C中学校は60人ですから,データを小さい値から順に並べたときに四分位数はそれぞれ次のようになります。
それぞれの中学校のヒストグラムから累積度数を計算して,それぞれの四分位数を対応させてみると
のようになります。先ほど出した答えは確かに正しかったことがわかります。
(ii)
度数分布表やヒストグラムから平均値を求めるには,それぞれの階級に属するデータがすべて階級値(階級の真ん中の値)であるとして計算します。
ドーン!
たしかに平均はすべて25分未満ですね。ですからやっぱり正しかったです。でも,たぶん時間配分的にここまでやらせるつもりはなかったのではないかというのと「階級値から平均値を求めるのは教科書でやってないんですけど問題」が絡みます。特に横浜市・川崎市で採用しているそれぞれの教科書がそれに該当しています。ああ怖い。
なので,計算しなくても答えにたどり着くようにしているんだと思う反面,平均値がちゃんとわり切れるようにしているのは用意周到にも感じられ,出題の意図が興味深いところです。
答
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