
(8) 一式まるごと、 輸出 ?
金森首相がベネズエラに着任すると、いつの間にか日本の新聞社と民放局が複数やってきて、カラカス支局を構えた。ベネズエラ政府へ特に何の連絡も、届け出もしなかった。確かに、ベネズエラ進出に関する制約で、進出NGの産業リストにマスコミは入っていない。
既にブラジルに支局があった報道会社も、ベネズエラ支局を南米の中心拠点へ変更したらしい。お陰で新聞とテレビで、ベネズエラと南米の情報が日本で報じられる機会が増えた。そんな状況をベネズエラ政府が知るのも、暫く経ってからとなる。
日本のメディアにすれば、モリとカナモリ体制になれば、北朝鮮以上の情報量が得られると考えたのだろうが、政府側は折角、優しい穏やかなベネズエラ報道陣に囲まれていただけに、少々迷惑な感覚を持っていた。政府のプライバシーは管理を徹底しているので、そちらの心配はしていないが。
カラカスにやって来た記者達は、異国の地でそれぞれで交流しあって、ベネズエラでの特派員生活の過ごし方や生活情報まで共有しあっていた。何しろ治安がよく、日本食がどの街でも気軽に食べられ、駐在先としては比較的楽な国だ。あちこちの店舗には、ご機嫌な顔をした非番の自衛隊員や日本の駐在員が数多く見掛ける。
懸念は、この緩さを醸すようなベネズエラのマスメディアに、日本人記者達が、がっつくように加わって、取材活動がエスカレートする可能性だ。
少しでも良い情報を得ようと、他社を出し抜いてスクープを手に入れたがる職種がマスコミだ。ベネズエラに配属されたのも、それなりに優秀な方々なのかもしれない。今後は多少 強引な取材もするかもしれない。その一方で、モリ・カナモリの2人は、知的な考察をする記者を好んできた実績がある。国内のメディアを良いものにしたいと考えているフシも見受けられた。実際、2人に気に入られて、一線は守りつつも仲の良い記者が何人か存在するのも事実だ。
今回の特派員記者の中に、2人の既知の記者達は居なかったが、ベネズエラが国際舞台に登場するような国にでもなると、その場で待ち構える記者達と遭遇するかもしれない。何しろ、G7の下位国イタリア・カナダを上回る経済規模を持つ国になってしまったのだから。
ーーーー
記者達はベネズエラでの取材活動を始め、同時に日々の生活消費の過程で、細かな事実に気付いてゆく。ベネズエラ政府が、国民の所得を適切なものにコントロールしている実態が分かってきた。南米諸国連合内で国家間では経済的格差が生じながらも、南米諸国連合内の人々の賃金と物価は、差異が存在しているようには見えなかった。特に苦肉の策を取っているベネズエラは、物価上昇を抑える為に「ベネズエラ・ペソ高 還元キャンペーン」を実施し、海岸から見える近い外国、諸島国家である、アルバ、キュラソー、グレナダ、トリニダード・トバゴ等への日帰り観光・短期観光を国民に勧める為に諸島国家と観光の共同計画を行い、ペソ預金の利率を上げる 等々と、国の経済規模拡大によって国民所得と南米諸国連合の人々との間で大きな収入差が生じない為の対策が、アレコレと講じられているのが分かった。
税の構造や公共料金など、つぶさに見てゆくと、国民に優しい行政サービスが実施されているのが分かる。ベネズエラのメディアには、これがモリ大統領就任から当たり前のものとして提供されているので、特に違和感を感じない。違いが分かるのは他国からやって来た方々だ。中米からのベネズエラ農場で働く農業技術者や、南米各国からやって来た日系人、そして今回の日本人記者が「優しい政府だ」と実感する。
急激な経済成長を国民取得にリンクさせたり、海外資本の参入を容認すると、人々の間で所得格差が生じて、社会主義国家(あくまでも憲法上の話。現政権下の実態は資本主義)としての体裁に影響を及ぼしかねない。内閣が女性で構成されているので生活面の細かなケアが行き届いているのではないかと日本人記者達は推測した。
そんな中で1社だけ、他社とツルむ事も無く、街で単身 取材を続ける記者が居た。北前・社会党が与党になってから、日本で増殖した女性記者の一人だった。午前中は大統領府へ日参し、翔子官房長官かパメラ報道官の定期会見に臨んでいた。日本人女性で目立つだけに、日本人大臣達と秘書官、報道官達のガードが次第に下がっていったらしい。
モリ大統領がラフな格好で出勤している朝は、今日は外出しないと見抜かれるようになる。官房長官に、大統領と首相の週間予定を聞いて照らし合わせて考察していた。
ガードが下がったとは言え、日本で衆議院議員を10数年勤めたメンバーなので、記者との一線は保ち続けていた。美味しいお店やお買い得店舗等の生活情報は提供しても、一緒に食事はしなかった。それでも大臣が役所へ移動したり、少数のメンバーで国内視察をする際は、同行するようになった。まだ、数日しか経っていないのに。
ーーーー
蛍とあゆみは、ネブラスカ州都リンカーンから、歩が手術の為に滞在しているボストンへ向かった。義理の4人姉妹も同行するか悩んだが、既にモリと関係があるだけに、姉ヅラするのも辛いものがある。お互いで接しないようにしていた。そもそも、日頃の接点が無く、生活拠点も異なったまま10数年経ってしまっている。蛍もあゆみも事情はよく分かっているので「一緒に行こう」とは決して誘わない。
それ故に自然とパスして、ベネズエラへと戻っていた。ベネズエラに戻れば戻ったで、別の義理の兄弟と遭遇するのだが、この時点では知らなかった。そもそも欧州サッカーはシーズン中だし、日本のJリーグはキャンプが始まっている頃で、まさか来るとは思わない。
それでも、帰りの機内で誰かが気づく。興味は無くとも、歩がボストンに居れば、誰かが調べる。圭吾が所属しているフランスチームの順位は、いま何位なんだろう?と。
「あ、圭吾が故障者リストに入ってる!」樹里が3人にスマホを見せた。
「あら、まぁ・・」3人がどれどれとスマホを覗きこんだ。
長男と三男は日本のプロリーグで、長男の所属チームは1部降格の瀬戸際を味わった。
三男は、昨シーズンから長男のチームから離れ、移籍チームは2位で終わった。
四男の圭吾だけが、海外リーグへステップアップ出来た。圭吾は彩乃と同学年で、他の3人にしてみれば可愛い弟みたいなものだった。ただ、この男、浮いた話が聞こえてこない。
長男は高校の時に出来ちゃった婚で、その後、女優と不倫の噂が出た事がある。本人に言わせれば誤解だったらしいが、そもそもサッカー選手と女優が一緒に居る機会はそうそう無いハズで、何らかの思惑か、テレビの収録でも無ければ一緒に居ないだろうというのが、モリ家全員の判断だった。
三男は芸能人と暫く付き合っていたようだが、その相手だった方は既に結婚している。別れた理由は誰も知らない、というか、誰も聞けなかった。鮎が果敢に問い詰めたると、どうやら一般の方とお付き合いをしているらしい。
四男に至っては、全く何も聞こえてこない。誰も知らない。実姉のあゆみにとっては可愛いい弟なので、蛍とアレコレ詮索しているらしいのだが、パリでの1人暮らしを満喫していると言う。
「靭帯で3週間か・・残りのシーズン棒に振っちゃうパターンだよね。可哀想に・・」
「もしもだよ、一人ぽっちで怪我だなんてなったら、それはかなりシンドイよね?」
「ちょっと怪我の具合が分からない。靭帯っていっても裂傷すれば歩けないだろうし・・」
「あー、でもスタジアムで普通にチームの試合観戦をしてるみたい。杖とか車椅子とか使ってるのか分からないけど、何かしらで移動は出来るってことだよね?」
「それなら、それほど酷くはないのかもしれないね・・」
それでも、これで圭吾の話は打ち切りとなった。要はその程度に過ぎないと言うことだ。
ーーー
大西洋を渡って、カラカスに到着した。乾季も終盤だが、まだいい天気だ。噂の大統領の別荘とやらで、南国の空の下、故障箇所を温めようと考えた。
「Mr.Keigo」と書かれたプラカードを持ったベネズエラ人の女性自衛官が居た。胸に日の丸とベネズエラのワッペンが並んでいる。
「初めまして。大統領府の警備担当のアナベルと申します。ベネズエラへようこそ」
アクセントが微妙な日本語だが、キレイな人なので気分は悪くなかった。
外へ出ると、Sクラスが止まっていた。さすが大統領、でも父さんは軽トラに乗ってるんだよな?と思う。送迎用のクルマなのだろう。手入れもされていて、塗装も見事だった。
「いいクルマですね・・」
「はい、これは大統領専用車です。お客様の送迎以外は使っていないのです。あ、荷物をお預かりします!」彼女は重いキャリーバッグを何事もないかのようにトランクに積んで、圭吾を後部座席に座らせて、ドアを閉めた。
エンジンをかけるとスーッと動き出す。この初動だけで圭吾には直ぐに分かった。このひと、運転が上手だな、と。
先日のゲームで相手選手と接触し、膝を怪我して戦線離脱、治療に専念していた。
チームがシーズン終盤の大事な時期の離脱なだけに悔いが残る。この週末はスタジアムでスタンドからチームを応援していた。相手あっての事とは言え、シーズンを棒に振った形となり、自己嫌悪ばかりが募る。初めての怪我らしい怪我なので、メンタル管理でも苦戦していた。兄の一件があって、怪我だけはしないように細心の注意を払ってきたつもりだが、このタイミングでの離脱は痛い。ワールドカップまでに回復し、コンディションが整えられるのかも不安だった。コンディションが戻らなければ、代表メンバーに選ばれない可能性もある。そんな、不安だらけの日々を過ごしていた。
そこへドクターから、日本に帰って治療に専念した方がいい、と言われてハッとした。
一人で居るとマイナス思考にどうしてもなってしまう。「家族と過ごしなさい」と言われて、立ち上がった。診断書をチームに提出してパリを出た。歩行する分には問題はなかった。それに治療するなら暖かい国の方がいい。パリの2月は温かいと言われるが、冬である事には変わらなかった。日本は真冬だ。それ故にパリに残っていたのだが、そうだった、ベネズエラは常夏じゃないか、と。
大統領府に到着すると祖母と翔子さん、幸乃さん、志乃さんが笑顔で出迎えてくれる。3人の義母に会うのも学生の頃以来だ。「突然でごめんね」と祖母に謝ると、そのまま背中を押されて建物へ促される。運転してきたアナベルが、降ろした荷物は志乃さんが受け取って運んでくれた。その大型車はどこかに持っていかれてしまった。手前の駐車場には、日本の軽自動車がズラリと並んでいる。この家族、ここでも庶民的なのかと、左ハンドルの軽自動車という、極めて物珍しいものを見ながら建屋の中へ入った。
父と里子さんがネットで誰かと話をしているのが見える。チラッと視線を合わせて会釈を交わして、その場から退散し、豪勢なリビングへと向かった。今日は陸たちはサッカーの練習に行ってるらしい。
祖母から「何、飲む?ビール出そうか?」と言われ「日本茶なんてあるかな?」と応えると、直ぐに出してくれた。「いや、美味いね。水も軟水でありがたい・・」
「茶葉なら幾らでもあるから持っていきなさい」 祖母が言う。
「いいよ。こっちの方が需要があるんでしょ・・」
「こっちで栽培しているのよ。自衛隊の駐屯地にも卸してるし、国内のお寿司屋さんや丼物店でも使ってるけど、それでもまだ十分な量が残るくらい、作ってるの」
「栽培してるんだ・・まだ1年経ってないのに。あ、元々こっちで栽培してたんだね」
「茶木は日本から送って貰ったの。半年前位だったかな、それでこうなった」
祖母が茶畑で茶葉を積むロボット達の写真をタブレットで見せた。
「すごいね。こんなに広いんだ・・」日本のような光景で、ロボットが茶摘み娘みたいな服を着ているのも驚いた。
祖母はそんな感じで終始ニコニコしていた。
ーーーー
圭吾は執務中の時間帯の到着を申し訳なく感じて、姉のママチャリを借りてカラカスの商業地へ向かった。国営のRed Starホテルの1階がHookLike Cafeだったので、懐かしくて入る。メニューは日本と同じかな?と思ったら、少々違う。例えばトースターでも、サンドイッチでも、頼むと全てにショコラが突き合わせのように付いて来る。ベネズエラでカカオ栽培をしているからだという。
コーヒー豆はコロンビアとベネズエラの豆から4択。パンは相変わらずの旨さだ。パリに出店したとしても、人気の店になるだろう。フランスの硬水でNGになるのかもしれない。カフェの隣にはパン屋・Rick’sBreadが並んでいて、この2店だけ、ホテルと路地と、いずれからでも入店できる。この2店からパンとコーヒー豆を仕入れて、カフェをやっている店がカラカス市内だけでも10店舗以上あるらしい。レジカウンターの隣にそう書いてあるので驚いた。HookLikeCafeの分店のようなものだろうか。
それぞれの店がプラスαのオリジナルメニューで競い合っているのだとか、事業を広げるという意味では、これでいいのだろう。
ベネズエラ国内だけでなく、南米諸国連合の各首都に、国営ホテルRed Star Hotelの1階に,カフェとパン屋のセットで出店しているらしい。同じように、飲食店経営をしている店がパンを大量に買い求めて行くらしい。日本とは違うと感じた。
街巡りを再開すると、カフェの看板に「Rick Breadを利用」と表示され、店内は賑わっていた。明日はこのカフェを試してみようと思った。
衣料店の「Rs」を見つけて入店する。フランスではネット販売でしか手に入らない。実物を手にとって選べるのはやはり嬉しい。商品としての完成度は秀逸だ。この値段でよく出せるなと関心してしまう。
ベネズエラのプロチームのレプリカコーナーもあって、サッカーのスパイクを衝動買いしてまう。ついでにトレーニングウエアやシューズもカゴに入れる。ベネズエラ滞在中に体を動かすのに使おう。弟達の所属チームも冷やかしに行こう・・と買い物カゴが一杯になってゆく。
一旦、家に帰ろうとママチャリのカゴにスパイクとシューズを入れて、左手に紙袋を持って、片手運転で帰ってゆく。何も一度にこんなに買わなくても良かったのに・・
Aconcaguaに寄れば・・また買い込むのだろう・・
ーーーー
来週後半で、ベネズエラの両首脳が訪米すると知る。
表敬訪問で、特に重要では無いようだが、日本の柳井首相も合流するようだ。日本でも抑えていない情報だったので、小さなスクープ記事になった。官房長官から政府専用機の同乗の許可を手に入れた。ベネズエラの新聞社もテレビ局も知らなかったようだ。
翌日、情報が公になるとアメリカ訪問の目的など、分析と取材に追われるようになる。
ベネズエラに配属された意味があるというものだ。了承されるかどうかは別として、外相、首相、大統領へ取材の要請をする。首相が共同取材に応じる意向だと、報道官が伝えた。
大臣達が使っている執務室で、親子である経産大臣と総理が、日本側と毎日のように連絡を取リ合っているのを知る。これは、単なる表敬訪問では済まないのではないか?そもそも、政権交代後の政権与党の外交で、中身の緩い訪問は無い。レベルの高い会談を絶えず行ってきた。それ故に、議題内容が何か、出来れば把握、特定したい。
やがて、日本から情報が聞こえて来る。高速鉄道の採用に合わせたエネルギー支援策絡みではないかと。実際、プルシアンブルーの米国資本会社が米国内で合同記者会見で、各社間のそれぞれのスキームを紹介している。つまり、水素発電所の建設費用の費用補填ではないか、アメリカ政府向けのインフラ整備の軽減策を提示するのではないかと。
その後、ベネズエラ側からは情報が漏れてこなくなった。疑心暗鬼の声が出てきた。エネルギーの話は日本記者の推測に過ぎないのではないか? 既に記者会見でオープンになっている情報が、改めて議題となるものだろうか?と。そもそも 日本政府の誰から聞いた話なのか?記者は探り始めた。
ーーーー
「あの記者さん、よく頑張ってるね」里子外相が目を掛けている記者は一人だけだった。翔子官房長官も注目している記者なので 頷く。今日は蛍と幸乃と一緒に、自衛隊病院の視察に同行している。
「パメラなんて、友達みたいですよ。こないだ一緒にランチしてるの見たけど、大丈夫なのかな?」志乃が笑う。
「パメラなら、大丈夫よ。杏と玲子で、かなり鍛えたみたいだから」
「問題はサチと彩乃と・・あゆみ、かな? 政治の何たるかを知る機会が無いまま、ベネズエラに来ちゃったし」
「3人共エンジニア専門だもの。それも仕方ないわよ」翔子が庇う。
「そうなんですけどね・・」その2人が、庭でモリに纏わりついている。
「それよりなんだけど、スザンヌが出来ちゃったかもしれないってアマンダから聞いたんだけど・・」
「ええっ!」里子と志乃が椅子に座ったまま、仰け反った。
翔子の心配は、パメラやアマンダ達、それに杏に玲子だった。焦るような状況にならなきゃいいけど・・
ーーーー
ベネズエラの自衛隊病院のインフルエンザとコロナ等のシーズン用ワクチンはキューバ製だった。
南米諸国連合内は、大抵キューバ製で統一しているらしい。そもそも今では、最新のスパコンで今年の各種ウィルスの流行が特定出来るようになっている。それで、予防ワクチン開発はキューバに委託しているのだと言う。大量に必要となれば、ベネズエラやアメリカの工場でワクチン製造を始める。
キューバとベネズエラは長年に渡って反米の同盟国として友好関係にある。そこへモリがやってきて、自衛隊支援と医療支援が双方でトレードオフとなった。
ベネズエラ国内の個人病院は大抵キューバ人が経営しており、大学病院と自衛隊病院にもキューバ人医師が居る。揃えている製薬はBlue Starで、医療スタッフはキューバ人医師が中心となり、キューバ、ニカラグア、ホンジュラス等の看護師さんで構成される。医療スタッフ同士のやり取りはスペイン語で出来、患者さんには必要に応じて翻訳キットで対応する。
キューバ政府も医療分野でベネズエラと提携して、南米諸国連合への進出を進めている。ハイチとパナマにも医師を送り出そうとしている。
また、医療用の機器や設備類は、最近、Blue Star製薬が製造子会社を作り、生産を始めている。製薬販売の利益を充てられるので、比較的安価な検査機器や医療機器が製造出来るようになっている。
キューバとベネズエラの両政府が狙っているのが、この「病院まるごと輸出」だ。
アフリカ・中東諸国を対象に、両国が共同提供する計画を立てている。2カ国で病院開業に必要なものを全て用意が出来て、建物から器具から薬から人まで、全てセットにして提供してゆく。そのベースモデルが自衛隊病院となる。そう、自衛隊員駐在と兵器配備もオプションで提供可能となる・・病院ごと、まるごと輸出するって発想がもの凄い。モリ大統領と日本の越山厚労大臣と幸乃厚労大臣のアイディアだと言う。
「いずれ、この箱物ソリューションの輸出に向けて、越山大臣と櫻田外相がベネズエラにやって来る・・かもしれない。次の内閣改造あたりが移動のタイミングになるのかなぁ〜」
モリ・ホタル経産大臣が病院の食堂で昼食時に呟いた。スクープネタだ!記者は喜んだものの、この情報リークが、自分を囲う為のものだと、記者は気がついていなかった。
蛍も幸乃もほくそ笑む。越山と櫻田が妊娠したら、理由が分かるだろう。
(つづく)