使いやすい施設って何だろう ~ 一貫する沖縄アリーナのコンセプト ~
琉球ゴールデンキングスの新アリーナとなる沖縄アリーナ計画書を何度も何度も読み返しているTaiyoです。自治体の公開している資料ってとても面白いです。文章お堅いですけど。
今回、またご縁があって(また突撃訪問して)、 沖縄市役所企画部プロジェクト推進室に、沖縄市のアリーナ構想の始まり、キングスがいかに関わったのか、実施設計、アリーナの防災における役割について聞いてきました。
沖縄市アリーナ構想は2014年からスタート
── 沖縄市としてのアリーナ計画のスタートを教えて下さい。
「アリーナ計画のスタートとしては、2014(平成26)年から アリーナ整備基本構想 の作成を開始しました。その頃沖縄市役所にプロジェクト推進室が発足、その流れでアリーナ構想が動き出しました」
「その後、2016(平成28)年に 基本設計を含めた全体計画 を作成、さらに 実施設計 という順番で計画が具体的になっていきました」
参照:(仮称)沖縄市多目的アリーナ施設等整備全体計画調査業務報告書
沖縄市多目的アリーナ施設整備基本構想策定業務報告書 より抜粋
琉球ゴールデンキングスのアリーナ計画への関わり
── 最初からキングスが設計監修業務を担っていたんですか?
「いえ、基本構想段階は設計監修ではなく、基本構想策定委員会メンバーのひとりとしてキングスには入って頂きました」
「その後、 基本設計からキングスには設計監修業務として入って頂きました 」
「本アリーナはバスケットボール興行をメインに運営していく構想でした。役所だけで作ってしまうと使い勝手の悪い部分が出てきてしまう可能性もあったので、 主たる使用者であるキングスに設計段階から入ってもらう考えがありました」
「公的施設の設計段階からコンテンツ側が参加する事については、他の公的施設の事例も大いに参考にしました。アリーナだけではなく同じ『観るための施設』である野球スタジアムやサッカー場などの先行事例の考え方や計画の進め方を参考にしています。キングスには『使う』立場という視点で多くの意見を出して頂きました」
「本アリーナの特徴として実施設計ではECI方式(Early Contractor Involvement)を採用しました。施工予定者も一緒になって実施設計を作ることで、建設コスト縮減等を図るメリットがあります」
── 体育館の延長線上ではなく、構想・設計段階から『観るための』アリーナなんですね。
「そうです。 構想・設計段階から『観る』という視点は重要視しています 」
沖縄アリーナの指定管理方式
── 市予算によると指定管理料は期間総額で約3億円、年間約6千万円。沖縄アリーナの指定管理の方式としては?
「沖縄アリーナは利用料金制度を採用しています。利用者から受け取る施設利用料は指定管理者の歳入となります」
「沖縄市ではアリーナ運営に関する調査業務を事前に行っており、それによるとアリーナ維持管理コストは年間3億円程度かかると見込んでいます 。 本来はその金額を沖縄市が負担するところを、指定管理者(沖縄アリーナ株式会社)に指定管理料を支払い、その他残りの維持管理費はアリーナからの歳入を活用して賄ってもらうという仕組みとなっています 。施設の機能を維持しながら上手くアリーナを活用して頂きたいと思っています」
防災機能としてのアリーナの役割
── アリーナの防災面での役割を教えて下さい。
「沖縄アリーナがあるコザ運動公園、この全体が地震等の大規模災害時の広域避難場所に指定されています。公園内には野球場や体育館など色々な施設がありますので、各施設の特徴を活かしながら防災計画を立てていきます。アリーナもその施設の一つとなり、アリーナだけで防災施設として完結するものではありません」
「アリーナの特徴としては、屋内に直接車両を乗り入れ出来る点があるので、救援物資を大量に運び込んで風雨から守り仕分ける等の活用が出来ます。各施設の長所を持ち寄ってコザ運動公園全体での防災計画が大事になります」
「使いやすい」って何だろう
「このアリーナは、土間コンクリートもそうですが、『使いやすさを求めて』『使いやすさって何だろう』という事をとても意識しています」
「本アリーナは、スポーツを『する』というより『観る』という点に重きを置いている施設になっています」
お話を伺う中で何度も『観るための』『使いやすさ』というキーワードが出てきました。これは琉球ゴールデンキングスがアリーナを語る際に何度も出てきた言葉でもあります。施主である沖縄市からもその言葉が聞けるということは、つまりアリーナ計画のコンセプトが首尾一貫しているという証でもあります。どんなアリーナ体験を見せてくれるのか楽しみです。
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