【西洋美術】天使かキューピッドか見分ける方法

あなたは羽根の生えた人物を、絵や彫刻で見たことがありますよね。

ヌードだったり、白い服を着ていて、背中に羽根が付いていて、弓矢を持っていたり花を持っていたりというイメージがざっくり浮かんだのではないでしょうか。

あなたは、その人物が天使なのかキューピッドなのか、見分けることができますか?

え?天使とキューピッドは同じじゃないの?と思ったあなた、違いと見分け方をご紹介します。

分かりにくい西洋絵画が見やすくなって、面白くなりますよ。

ざっくり簡単に見分けると、

・天使→宗教画で羽根の生えた人
・キューピッド→神話画で羽根の生えた弓矢を持った人、またはヴィーナスと一緒にいる羽根の生えた人

です。


さてこの画像の羽根の生えた人物はどちらでしょうか?

答えの前に、それぞれ詳しく書きます。


天使

宗教画(キリスト教関連の作品)に登場する羽根の生えた人。

・本来は目に見えない精神体で肉体のない存在ですが、地上では人間の姿に見えるという考え方がある。

・男女の区別なく中性。

・時代や芸術家の解釈で、男性的、女性的、子どもなど様々に表現。(愛らしい子供の姿で描かれるのは、天使の造形が神話を下敷きにしているから)

*画像はレオナルド・ダ・ヴィンチ作「受胎告知」


キューピッド

神話画(ギリシャ神話)に登場する羽根の生えた人。神。

・女神ヴィーナスの息子。男性。

・手に弓矢や矢筒、松明を持っている。

・もし何も持っていない似た者がいたらプッティです。キューピッドのお供になります。ただしヴィーナスがいたら何も持たずともキューピッドになります。

・有翼の青年や少年の姿から、時代を経てぽっちゃりした幼児の姿で描かれるようになった。

・キューピッドは、エロス、クピド、アモル などとも呼ばれます。何人も描かれることもあり、その場合エロテス(エロスの複数形)と呼びます。

*画像はボッティチェリ作「春 プリマヴェーラ」


天使とキューピッドの見分けがつきにくいのは、どちらも小さな子供の姿をしているからです。

そして、どちらにも登場する「プットー」という小さな子供についても紹介します。

プットー

宗教画にも神話画にも登場する、小さな有翼の子ども。たくさんいれば、プッティ(複数形の名前)と呼びます。

・神話画で何も持っていなければプットー(プッティ。ただしヴィーナスがいれば、何も持たずともキューピッドです)

・宗教画に登場する時は子どもの天使。絵の盛り上げ役。

*画像はティントレット作「受胎告知」


さて、上の画像の羽根の生えた人は天使かキューピッドかどちらか分かりましたでしょうか?

正解は、天使です。


では、この絵は天使かキューピッドかどちらでしょうか?

正解はキューピッドです。プットーもいますね(何も持っていない下にいる子ども)

*画像はラファエロ作「ガラテアの勝利」


ではこちらの絵は?

正解はプッティです。

*画像はラファエロ作「システィーナの聖母」


いかがでしたか?

その絵が神話画か宗教画かを見分け、宗教画なら天使、神話画なら弓矢などでキューピッドかプットー(プッティ)かで見分けれます。

とてもややこしい存在ですねえ。。。西洋絵画を見るときのお役に立てれると嬉しいです。


最初の画像は、ヴェロッキオとレオナルドダヴィンチ作「キリストの洗礼」です。

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太陽/画家
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