ゼロからはじめるアート鑑賞
太陽です。アートに興味があるけれど、どう見たらいいのかわからないなと思う方に、知識がなくても作品に親しめる鑑賞のヒントを紹介していきます。
気になる作品を探す
これは、知識がなくても誰でもできる一番カンタンな観賞方法です。あなたが美術館やギャラリー、芸術祭に行ったときに、
・気になる作品はどれか?
・その作品の何が気になったのか?
という疑問に答えてみてください。
「気になる」というのは、あなたの感性と関わりがあるということです。「気になる」は好きで気になる、好きじゃなくて気になる、と2つあります。どちらも、あなたのモノの見方(感性)を知るヒントになります。
何が描かれているかを見る
これは、「よく見る」ということです。あなたが気になった作品をよく見ることで、作品についての情報を得ることができて、親しみを持てて鑑賞が楽しくなります。
例えば絵だと、赤や青いリンゴがたくさんあるなぁとか、これは布で、これは水差しで、筆跡が激しいな、とかをちゃんと見るということです。彫刻なら何でできてる、どんな形で、表面がツルツルしてるかサラサラしてる、などを見てみます。人物画なら、女性だな、男性だな、王様だな、貴族だな、と分かりながら見ます。抽象画だと、何色が使われているか、丸い形か四角い形か、線か面か、を見ます。
じっくり見てみると、作品からたくさんの情報を得ることができます。そしてこの作品はこんな作品だった、と誰かに言ってみると、作品に親しみを持つことができます。アートを鑑賞することを通じて自分自身を知ることができるのでおすすめです。
いま、何を感じているか?
この、シンプルな問いかけに答えてみてください。初めて作品と向きあった時に、スッと素直に感じることに目を向けると、作品と対話するきっかけになって、より鑑賞することが楽しめます。
例えば、ある絵画の前に立った時、降り注ぐような、静かで崇高なものを感じました。とても心地が良かったです。その色の中に、様々なものが見えました。宗教、感情、遠くの情景などで、イメージがたくさん引き出されていきました。
これは何だろうと、キャプション(タイトルが書かれたプレート)を見たら、マーク・ロスコでした。
初めて見たロスコ作品(カラーフィールドペインティング)は、大画面と色面による、浴びるような体験を作り出していて、後で、ロスコは崇高さを絵画にのせて作っていたのだと知りました。
私は、いま目の前の作品から感じる感覚は、概ね合っているのではと思うようになりましたし、作品に親しみを持つことができました。
*画像はマーク・ロスコです。出典はグッゲンハイム美術館
ストーリーを作ってみる
作品の意図や、主な解説などはあれども、自分の目で見てどういうストーリーが見えるかなと作ってみると、鑑賞することと想像することを同時に楽しめます。
例えばこの作品は、ベックリン作「死の島」です。
私はこんなストーリーを作ってみました。
風一つ吹かないどこかの海、一艘の舟がギィギィと音を響かせながら島へ向かう。行けば戻ることはないのだろう。中はきっと無に違いない。私は先ゆく舟を見送ってただ佇む。恐れはなく、静けさがあるだけ。
あなたはどのようなストーリーを作りましたか?
島で何が待っていると思いますか?
この絵画を見ているあなたは、今どこに立っていますか?
私もあなたも、あの島へ向かう舟に乗っているのではないでしょうか。それとも通りがかっただけ、、?
この作品は亡き人に思いを馳せることのできる夢の絵として描かれたものです。当時、一家に一枚複製画があったと言われるほど人気の絵です。
という解説はあれども、自分の目で見てストーリーを作ってみると、作品に感情を乗せることができました。
これも、作品鑑賞の楽しみ方のひとつです。ぜひ人物画や風景画を鑑賞するときに、お役立てください。
*画像はwikipediaより
欲しいかどうか
コレクターになったつもりで、ウインドウショッピングするように見てみると、また違った視点で作品を捉えることができます。
例えばこの作品は玄関に、これはリビングに、あの店に置いたらかっこいいだろうなぁ、もしこんな家に住めたら寝室に、これはあの人にぴったりだからプレゼントしたい、などなど。
アートのある暮らしを想像すると、本当にわくわくしてきて楽しめます。
そして心の栄養になります。
*画像は、ジャン=ミシェル・バスキア作「untitled」です。すごく話題になりましたね
以上、知識がなくてもアートを楽しめる鑑賞のヒントでした。